労働安全衛生法 ・ 第1章 安衛法の全体像と登場人物
1-8労働災害防止計画とそれに基づく勧告・要請第6条〜第9条
【6条】厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(以下「労働災害防止計画」という。)を策定しなければならない。
【7条】厚生労働大臣は、労働災害の発生状況、労働災害の防止に関する対策の効果等を考慮して必要があると認めるときは、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害防止計画を変更しなければならない。
【8条】厚生労働大臣は、労働災害防止計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。
【9条】厚生労働大臣は、労働災害防止計画の的確かつ円滑な実施のため必要があると認めるときは、事業を行う者、その団体その他の関係者に対し、労働災害の防止に関する事項について必要な勧告又は要請をすることができる。
ポテ労働災害防止計画って、都道府県の労働局長が作るんですよね?
ロウ先生作るのは厚生労働大臣です。労働政策審議会の意見をきいて策定し、変更するときも同じように意見をききます。
ポテえっ、そうなの!?じゃあ、大臣の勧告に従わないと罰則があるとか?
ロウ先生9条の勧告・要請には強制力がなく、罰則もありません。改正で、人を雇っていない個人事業者やその団体にも働きかけられるようになりました。
ポテなるほど!大臣からの「よろしくお願いします」のお手紙なんだ。
ここまでの節は、事業者や労働者など現場の当事者のルールでした。この節は、国が全国レベルで労働災害を減らすための「中期目標」をどう立てるかの話です。
計画の一生を4段階で見る
| 段階 | 条文 | 主体 | 手続・要件 |
|---|---|---|---|
| 作る | 6条 | 厚生労働大臣 | 労働政策審議会の意見をきいて策定する(義務) |
| 直す | 7条 | 災害の発生状況や対策の効果などから必要と認めるとき、労働政策審議会の意見をきいて変更する(義務) | |
| 知らせる | 8条 | 策定・変更したら遅滞なく公表する(義務) | |
| 働きかける | 9条 | 計画の実施に必要なとき、事業を行う者やその団体などに勧告・要請をする(できる規定) |
計画の中身は、労働災害防止のための主要な対策など、重要な事項です。現在は令和5年度から令和9年度までの5年間を期間とする「第14次労働災害防止計画」が実施されています。
9条の改正 ― 相手方が「事業を行う者」に
令和7年法律第33号による改正で、9条の勧告・要請の相手が「事業者、事業者の団体その他の関係者」から「事業を行う者、その団体その他の関係者」に改められました(令和8年4月1日施行)。1-3のとおり、「事業者」は労働者を使用する者に限られます。改正後は、人を雇っていない個人事業者やその団体にも働きかけができるようになりました。個人事業者等の安全衛生対策を進める改正の一環です。
具体例で考える
計画の重点の一つに、ある業種の墜落・転落災害を減らす目標が掲げられているとします。目標の達成が遅れているとき、大臣は業界団体に対し、会員企業への安全研修の実施を要請することができます。改正後は、一人親方が加入する職人の団体も働きかけの相手にできます。ただし、勧告・要請には強制力がなく、従わなくても罰則はありません。
暗記主語はすべて「厚生労働大臣」。策定と変更は「労働政策審議会の意見をきいて」。策定・変更後は「遅滞なく公表」。9条は「勧告又は要請」で、命令ではない。
覚え方「作る・直す・知らせる・働きかける」の4コマ漫画で覚える……主人公はずっと厚生労働大臣。1コマ目(6条)は労働政策審議会の意見をきいて策定、2コマ目(7条)は必要なとき同じく意見をきいて変更、3コマ目(8条)は遅滞なく公表。ここまでは義務。4コマ目(9条)だけは事業を行う者やその団体などへの勧告・要請が「できる」で、命令ではない。
ひっかけ注意計画を策定するのは都道府県労働局長ではなく厚生労働大臣です。また、審議会の意見をきくのは策定のときだけでなく変更のときも同じです。