労働保険徴収法 ・ 第1章 徴収法の役割と基本の言葉
1-3一元適用事業と二元適用事業・窓口となる役所第39条・施行規則第1条
(施行規則第1条第1項)労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号。以下「法」という。)の規定による労働保険に関する事務(以下「労働保険関係事務」という。)は、第36条の規定により官署支出官(予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第1条第2号に規定する官署支出官をいう。以下同じ。)が行う法第19条第6項及び第20条第3項の規定による還付金の還付に関する事務を除き、次の区分に従い、都道府県労働局長並びに労働基準監督署長及び公共職業安定所長が行う。(各号略)
ポテ国の事業って、なんだか特別っぽいから二元適用ですよね!
ロウ先生国の事業は一元適用です。労災保険が全面的に適用除外で、雇用保険の保険関係しか成立しないので、分ける必要がないんです。
ポテえっ、そうなの!?じゃあ二元適用ってどんな事業?
ロウ先生労災と雇用を別々の事業とみなして手続するのが二元適用です。都道府県・市町村とそれに準ずるもの、6大港の港湾運送、農林水産、建設の事業が当たります。
ポテなるほど!国はお茶しか頼んでないから、セットを分けようがないのか〜。
この節は「どの単位で保険に入り、どの役所に書類を出すか」を決める入口です。ここがあいまいだと、後の章の手続の話がつかみにくくなります。
保険に入る単位は「事業」
- 労働保険は会社ごとではなく、事業(事業所)ごとに適用されます。ここでいう事業は、ひとつの経営体として独り立ちして動いている単位を指します。本社と工場が別の場所で独立して動いていれば、原則として別々の事業です。
- 事業は二つの軸で分類されます。一つは期間の軸(有期事業か継続事業か)、もう一つは保険の扱い方の軸(一元適用か二元適用か)です。
| 期間の軸 | 見分け方 | たとえば |
|---|---|---|
| 有期事業 | 終わる時期が最初から見込まれている | ビルの建築工事、道路工事 |
| 継続事業 | 有期事業以外。終わりが予定されていない | 工場、商店、事務所 |
一元適用と二元適用
大半の事業は、労災と雇用を一つの保険関係として扱い、申告も納付も1本で済ませます。これが一元適用事業です。ところが、労災の対象になる人と雇用保険の対象になる人が大きく食い違う業種では、まとめるとかえって不便です。そこで二つの保険を別々の事業とみなして手続させるのが二元適用事業です。
| 一元適用事業 | 二元適用事業 | |
|---|---|---|
| 当てはまる事業 | 下の5つ以外のすべて。国の事業もここに入る | ①都道府県・市町村の事業 ②①に準ずるものの事業 ③6大港(東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・関門)での港湾運送の事業 ④農林水産の事業 ⑤建設の事業 |
| 手続 | 労災・雇用をまとめて申告・納付 | 労災分と雇用分を別々に申告・納付 |
具体例で考える
工務店「さくら建設」は、本社事務所に5人、マンションの建築現場に職人20人がいます。現場は工事が終われば閉じる有期事業で、労災保険が関係します。一方、本社事務所は継続事業で、事務員の雇用保険も労災保険もここで扱います。同じ会社なのに場所によってかかる保険がずれるので、建設業は二元適用でそれぞれ処理する、という理屈です。
- 都道府県や市町村では、労災保険の対象は現業部門の非常勤職員です。雇用保険の対象は、辞めたときにほかの法令などで受け取る給与が雇用保険の求職者給付・就職促進給付を超えないと認められる人に限られます。対象がずれるので二元適用になります。
- 国の事業は労災保険が全面的に適用除外で、そもそも雇用保険の保険関係しか成立しません。分ける必要がないので一元適用事業の扱いです。
- 立木の伐採は林業なので二元適用です。
書類の出し先
| 受け持つ役所 | 担当する事務 |
|---|---|
| 所轄都道府県労働局長 | 署長・所長の担当分と保険料徴収の事務を除いた残り全部。たとえば暫定任意適用事業の任意加入・脱退の認可、請負事業の一括で下請を分離する認可、継続事業の一括の認可、労働保険事務組合の認可・業務廃止の届出・認可の取消し |
| 所轄労働基準監督署長 | 事務組合に委託していない一元適用事業(雇用保険だけが成立しているものを除く)の申請書など/二元適用事業のうち労災保険の分 |
| 所轄公共職業安定所長 | 事務組合に委託している一元適用事業/委託していない一元適用事業のうち雇用保険だけが成立しているもの/二元適用事業のうち雇用保険の分 |
| 所轄都道府県労働局歳入徴収官 | 一般保険料、第1種〜第3種特別加入保険料、印紙保険料、特例納付保険料と、これらに関する徴収金の徴収(則1条3項) |
- 雇用保険の暫定任意適用事業が任意加入を申請するときは、申請書を安定所長を経由して労働局長に出します(H28択一)。
- 事務組合に委託している一元適用事業でも、継続事業の一括を認可するのは安定所長ではなく労働局長です(H28択一)。
年金事務所を通して出せる届出
健康保険か厚生年金保険の適用事業所になっている会社は、継続事業について次の届出を年金事務所経由で出すことができます(則78条2項3号)。
- 保険関係成立届(健康保険・厚生年金保険の新規適用届や雇用保険の事業所設置届と一緒に出す場合は別の扱い)
- 名称、所在地等の変更届
- 代理人の選任・解任届
ひっかけ注意「国の事業は二元適用事業」は誤りです。また、都道府県・市町村そのものだけでなく、それに準ずるものの事業も二元適用です(R6択一)。窓口は「事務組合に委託していれば安定所、していなければ監督署(雇用保険だけなら安定所)」と分岐で覚えます。
暗記二元適用は「自治体(準ずるもの含む)・港湾運送(6大港)・農林水産・建設」の4グループ。認可ものは原則として労働局長。
覚え方「自分の港で、畑を耕し、家を建てる」……二元適用事業は、自治体(都道府県・市町村とそれに準ずるもの)、6大港の港湾運送、農林水産、建設の4グループ。国の事業は一元適用。二元適用では、労災の分は監督署長、雇用の分は安定所長へ出す。
- 都道府県・市町村とそれに準ずるもの
- 6大港の港湾運送
- 農林水産
- 建設
- 二元適用の4グループ以外のすべて
- 国の事業も一元適用