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健康保険法 ・ 第1章 健康保険のねらいと給付の全体地図

1-1業務外の病気やけが、出産、死亡に備える目的第1条

この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第七条第一項第一号に規定する業務災害をいう。)以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

ポテ健康保険って、仕事と関係ないけがだけが対象なんですよね?副業の請負仕事でけがしたら、どこからも出ないってことか……。

ロウ先生いまの第1条の言葉は「業務災害以外」です。労災保険の業務災害にあたらないものなら、仕事中のけがでも原則として健康保険が受け持ちます。

ポテえっ、そうなの!?じゃあ労災で認定待ちのあいだは、どっちも使えないの?

ロウ先生結果が「業務上ではない」と決まれば、健康保険からさかのぼって支給されます。

ポテなるほど!お皿が2枚あって、どっちかには必ずおやつが乗ってるんだ!

健康保険は、働く人とその家族が病気・けが・出産・死亡にあったとき、暮らしが崩れないように支える保険です。第1条はその守備範囲を決めた条文で、ここがすべての給付の出発点になります。

守るのは「4つの出来事」

第1条が挙げる保険事故は、疾病・負傷・死亡・出産の4つです。対象になる人は労働者と、その被扶養者(養われている家族)です。労災保険には出産という保険事故はありませんが、健康保険には入っています。

比べる点健康保険労災保険
受け持つ出来事業務災害以外の病気・けが・死亡と、出産業務上や通勤による負傷・疾病・障害・死亡など
家族への給付あり(被扶養者の病気や出産も対象)働く本人が対象
出産対象に入る対象に入らない

線引きの言葉が「業務外」から変わった理由

以前の条文は「業務外の事由」による病気やけがに限って給付するという書き方でした。この書き方だと、仕事がらみなのに労災保険の対象にもならない人が出てきます。たとえば、請負で引き受けた副業の作業中のけが、インターンシップ中のけが、シルバー人材センターの会員として作業していたときのけがです。どちらの保険からも給付されない「すき間」が生まれていました。

そこで平成25年10月から、健康保険が受け持つ範囲は「労災保険の業務災害以外」と書き改められました。今は、労災保険の給付を受けられない業務上のけがや病気も、原則として健康保険の対象です。

ただし例外があります。法人の役員としての仕事が原因のけがや病気は、引き続き健康保険の給付の対象になりません。被保険者が5人未満の小さな事業所の役員には特例があり、第7章(7-4)で扱います。

具体例で考える

会社員のAさんは、週末に知人から請け負った引っ越し作業で腰を痛めました。請負なので労災保険の労働者にはあたらず、労災の給付は出ません。この場合、Aさんは会社で入っている健康保険を使って治療を受けられます。平成25年9月以前なら「業務によるけが」として断られかねなかったケースです。

行政解釈と制度のしくみ

制度のあゆみ

ポイント健康保険と労災保険は「すき間なく分担する」のが基本の発想です。労災で救われないものは健康保険へ、という順番で考えると迷いません。

ひっかけ注意「健康保険は業務外の事由による疾病・負傷に限って給付する」という選択肢は今の条文と合いません。また「労災の認定を申請している間は健康保険の請求はできない」も誤りです。業務外と決まれば、さかのぼって支給されます。

暗記保険事故は4つ(疾病・負傷・死亡・出産)。範囲の線引きは「業務災害以外」。受給権者は被保険者。

覚え方「やまい・けが・おわり・はじまり」……人生の困りごとを、病気、けが、人生の終わり(死亡)、新しい命の始まり(出産)の順に思い浮かべる。健康保険の保険事故は疾病・負傷・死亡・出産の4つ(第1条)。

健康保険の保険事故になる?
  • ○疾病(やまい)
  • ○負傷(けが)
  • ○死亡(おわり)
  • ○出産(はじまり)
  • ×労災保険の業務災害にあたるもの

ポテやまい・けが・おわり・はじまり、で4つ!

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