健康保険法 ・ 第1章 健康保険のねらいと給付の全体地図
1-5お金の給付を支払うタイミング第56条・法附則第4条
【56条】入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の支給は、その都度、行わなければならない。第百条第二項(第百五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による埋葬に要した費用に相当する金額の支給についても、同様とする。
2 傷病手当金及び出産手当金の支給は、前項の規定にかかわらず、毎月一定の期日に行うことができる。
【附則4条】被保険者を使用する事業主(健康保険組合が組織されている事業所の事業主を除く。)及び当該被保険者で組織する法人その他の政令で定めるもの(次項において「法人等」という。)であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の承認を受けたもの(以下この条において「承認法人等」という。)は、当該被保険者の療養に関して保険給付があった場合において、第七十四条第一項の規定により当該被保険者が支払った一部負担金に相当する額の範囲内において、当該被保険者に対し、給付をすることができる。
2 前項の法人等が承認を受けようとするときは、あらかじめ、協会の同意を得なければならない。
3 承認法人等は、第一項の給付に要する費用に充てるため、厚生労働省令で定めるところにより、事業主又は被保険者から費用を徴収することができる。
4 承認法人等の事業に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
ポテ傷病手当金って、毎月決まった日にまとめて払わないといけないんですよね?
ロウ先生原則は「その都度」支給です。傷病手当金と出産手当金は、毎月一定の期日に払うこともできる、という書き方です。
ポテ「しなければならない」じゃなくて「できる」なんだ。
ロウ先生そうです。休んでいる期間が続く給付なので、月ごとに区切って払うと事務が回りやすいのです。……給料日ならぬ「休料日」ですね。今のは忘れてください。
ポテなるほど!毎日のおやつを、週末にまとめてもらうのもアリってことか!
お金や費用の給付は、いつ支払えばよいのか。第56条はこの支払いのリズムを決めています。あわせて、協会けんぽの被保険者の自己負担を軽くする、法附則第4条の特別なしくみも見ておきます。
原則は「請求があるたびに」
第56条1項に並ぶ給付は、その都度支給しなければなりません。療養の給付のような現物給付を除いた、費用やお金の給付がずらりと並んでいます。埋葬料を受ける人がいないときに埋葬を行った人へ出る費用(いわゆる埋葬費。第9章)も、同じく「その都度」です。
手当金の2つだけは「毎月決まった日」でもよい
例外を置いているのが2項です。対象は傷病手当金と出産手当金の2つで、保険者は「月に1回、決まった日」に払う方法を選ぶこともできます。どちらも、働けない日が何日も続く間の生活費を支える給付です。給与と同じように、月単位でまとめて払うほうが自然な場面があるため、こうした選択肢が用意されています。
| 給付 | 支払いのタイミング |
|---|---|
| 傷病手当金・出産手当金 | その都度が原則。毎月一定の期日に払うこともできる |
| それ以外の費用・お金の給付(出産育児一時金、埋葬料、療養費、家族療養費など) | その都度 |
具体例で考える
H社の被保険者Iさんは、骨折で2か月会社を休みました。保険者が「毎月15日に前月分をまとめて支給する」という運用をとっていれば、Iさんは毎月15日に傷病手当金を受け取れます。一方、Iさんの妻(被扶養者)が出産した場合の家族出産育児一時金は、月払いという選択肢はなく、請求に応じてその都度支給されます。
協会けんぽの被保険者向けの上乗せ(法附則第4条)
前の節で見たとおり、協会けんぽには付加給付がありません。そこで、似た働きをするしくみが附則に置かれています。
- 担い手は、事業主(健康保険組合のある事業所の事業主を除く)とその被保険者で組織する法人などです。政令の要件を満たし、厚生労働大臣の承認を受けたものを「承認法人等」と呼びます。
- 承認法人等は、被保険者が療養で支払った一部負担金に相当する額の範囲内で、その被保険者に給付ができます。
- 承認を受ける前には、あらかじめ協会の同意が必要です。
- 給付の費用は、厚生労働省令に従って、事業主や被保険者から集めることができます。
ポイント附則第4条の給付は、健康保険組合の付加給付(1-4)と並べて覚えると整理しやすくなります。組合は「規約」で自ら行い、協会けんぽの側では「承認法人等」が大臣の承認と協会の同意を得て行う、という対比です。
ひっかけ注意「傷病手当金及び出産手当金は、毎月一定の期日に支給しなければならない」は誤りです。正しくは「できる」です。また、毎月一定の期日に払える給付に、出産育児一時金や埋葬料は入りません。
暗記お金の給付はその都度が原則。毎月一定の期日に支給「できる」のは傷病手当金と出産手当金の2つだけ。承認法人等の給付は一部負担金相当額の範囲内で、承認の前に協会の同意。
覚え方「休みが続く手当は月ばらいOK」……休んでいる期間に払われ続ける2つの手当金(傷病手当金・出産手当金)だけは、毎月一定の期日にまとめて支給できる。ほかのお金の給付はその都度(第56条)。
- 傷病手当金
- 出産手当金
- (原則はその都度)
- 出産育児一時金
- 埋葬料
- 療養費
- 家族療養費など