健康保険法 ・ 第1章 健康保険のねらいと給付の全体地図
1-4健康保険組合が独自に上乗せする給付第53条
保険者が健康保険組合である場合においては、前条各号に掲げる給付に併せて、規約で定めるところにより、保険給付としてその他の給付を行うことができる。
ポテうちの会社は協会けんぽだけど、協会けんぽも付加給付でおまけを付けてくれるんですよね?
ロウ先生協会けんぽには、そのしくみがありません。上乗せの給付を出せるのは組合の側で、組合が規約に定めて、法律の給付に上乗せします。
ポテじゃあ組合なら、指定の病院に行った人だけ上乗せ、なんてのもアリ?
ロウ先生それは認められません。受診する医療機関で差がつく付加給付は、受ける機会の公平を損なうとされています。
ポテなるほど!トッピングは自由でも、特定のお店でしか食べられないトッピングはダメなんだ!
健康保険組合は、会社や業界ごとに作られる保険者です。財政に余裕があれば、法律で決まった給付(法定給付)に、組合独自の給付を上乗せできます。これを付加給付といいます。
付加給付ができる条件
- 行えるのは健康保険組合だけです。全国健康保険協会(協会けんぽ)には付加給付のしくみがありません。
- 行うかどうか、何を上乗せするかは、組合の規約で決めます。法律は「行うことができる」と書いており、義務ではありません。
- 付加給付も「保険給付」の一つとして扱われます。
どんな上乗せがあるか
| 付加給付の名前 | 中身のイメージ |
|---|---|
| 一部負担還元金 | 被保険者が窓口で払った一部負担金の一部を、あとで払い戻す |
| 家族療養費付加金 | 家族が受診したときの自己負担の一部を払い戻す |
| 傷病手当金付加金 | 法定の傷病手当金に金額を上乗せする |
| 埋葬料付加金・出産育児一時金付加金 | 法定の定額に上乗せする |
金額の目安としては、一部負担還元金や家族療養費付加金は、レセプト1件ごとに自己負担額から25,000円を差し引いた額とされています。傷病手当金付加金は、支給開始から3年間、標準報酬日額の100分の85から法定の傷病手当金を差し引いた額などが目安です。
認められない付加給付〔昭和32年保発3号〕
行政解釈は、付加給付に次のような歯止めをかけています。
- 法定の給付期間を超えるもの、法の目的から外れるもの、医療の範囲を超えるもの、保健施設のような性格のものは廃止します。ただし、療養の給付を受けられる期間内の延長傷病手当付加金や、療養にかかった費用の範囲内の家族療養付加金は差し支えないとされています。
- 被保険者期間(勤続年数)の長さで差をつける給付も廃止します。
- 家族療養費の付加金を「特定の医療機関で受診した場合だけ」に限るなど、医療機関によって差が出るものは、給付を受ける機会の均等を損なうため廃止します。
- 名前は、法定給付の名前に「付加金」をつけるのが原則です。
具体例で考える
F社健康保険組合の被保険者Gさんが、ある月に1つの病院で自己負担を40,000円払ったとします。この組合が規約で「1件につき25,000円を超えた分を一部負担還元金として払い戻す」と定めていれば、Gさんには15,000円が戻ってきます。同じ治療でも、協会けんぽの被保険者には付加給付がないので、この払い戻しはありません(高額療養費の基準に届けば、そちらは別に支給されます)。
ポイント付加給付は「組合ならでは」のサービスです。第1章で「協会けんぽ」と「健康保険組合」が出てきたら、付加給付の有無が分かれ目になる、と覚えておきましょう。2つの保険者のちがいは第12章で詳しく学びます。
ひっかけ注意「全国健康保険協会は、定款で定めるところにより付加給付を行うことができる」は誤りです。付加給付は健康保険組合が規約で行うものです。また、特定の医療機関を受診した場合に限った付加給付は認められません。
暗記付加給付=健康保険組合だけ・規約で定める・「できる」規定。一部負担還元金は付加給付の代表例。
覚え方「くみあい(組合)だけの、きやく(規約)でトッピング」……付加給付は健康保険組合だけが、規約で決めて法定給付に上乗せできる(第53条)。協会けんぽにはない。
- ○健康保険組合が規約で定めて上乗せ
- ×協会けんぽ(付加給付のしくみがない)
- ×特定の医療機関で受診したときだけの上乗せ