国民年金法 ・ 第1章 全国民共通の1階部分・国民年金の地図
1-1老齢・障害・死亡に備え、国民みんなで支え合う目的第1条・第2条
【1条】国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、もつて健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
【2条】国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。
ポテ国民年金って、お年寄りになったときだけもらえるお金ですよね?
ロウ先生第1条が挙げる出来事は3つです。老齢のほかに、障害と死亡も入っています。
ポテじゃあ、名前は「国民年金保険法」で、出るのは「保険給付」ですね!
ロウ先生法律の名前は「国民年金法」、出るものは条文でただの「給付」です。
ポテなるほど!散歩、おやつ、昼寝の3点セットと同じで、3つそろって国民年金なんだ!
国民年金がめざしているのは、暮らしが崩れるのを「起きる前に」防ぐことです。年をとって働けなくなる、病気やけがで障害が残る、家計を支える人が亡くなる。どれも、誰の身にも起こりうる出来事です。こうした出来事で生活が立ち行かなくなるのを、国民全体の助け合い(条文では「共同連帯」)で食い止めます。
第1条を3つのかたまりで読む
| かたまり | 条文の言葉 | 意味 |
|---|---|---|
| よりどころ | 日本国憲法第25条第2項に規定する理念 | 国は社会保障を向上・増進させるよう努める、という憲法の考え方を土台にしている |
| 何を・どうやって防ぐか | 「国民生活の安定」が損なわれるのを「共同連帯」で防ぐ(原因は老齢・障害・死亡) | 3つの出来事による生活の崩れを、みんなで支え合って防ぐ |
| 最終的なねらい | 健全な国民生活の維持及び向上に寄与 | 暮らしを保つだけでなく、よくしていくことに役立つ |
第2条は、この目的を実現する手段として「老齢、障害又は死亡に関して必要な給付」を行うと定めています。給付を受ける原因になる出来事を保険事故と呼びます。国民年金の保険事故は老齢・障害・死亡の3つです。
出来事ごとに出る給付
| 出来事 | 受け取れるもの |
|---|---|
| 老齢 | 老齢基礎年金、付加年金(旧法から続く老齢福祉年金もまだ支給されている) |
| 障害 | 障害基礎年金(1級と2級) |
| 死亡 | 遺族基礎年金、寡婦年金、死亡一時金 |
| 附則で定めるもの | 脱退一時金(日本を離れた短期在留外国人向け)、特別一時金 |
それぞれの中身は、老齢が第7章、障害が第8章、遺族が第9章、自営業の人ならではの給付と一時金が第10章です。
「保険給付」と言わない理由
健康保険法や厚生年金保険法には「保険」の2文字がありますが、国民年金法にはありません。給付の呼び方も「保険給付」ではなく、ただの「給付」です。国民年金には、保険料をまったく納めていない人に出る給付(旧法の老齢福祉年金など)があり、保険料を免除された期間も年金額に反映します。純粋な保険のしくみだけでは説明しきれないため、こうした呼び方になっていると説明されます。
具体例で考える
個人でパン屋を営む32歳のサトウさんを考えます。毎月の保険料を納めているので、65歳になれば老齢基礎年金を受け取れます。しかし国民年金が守ってくれるのは老後だけではありません。もし40歳で事故にあい重い障害が残れば障害基礎年金が、亡くなれば残された子のある配偶者や子に遺族基礎年金が出ます。若いうちから「3つの出来事への備え」に入っている、と考えるとイメージしやすくなります。
ポイント第1条は選択式の空欄に向いた条文です。「憲法第25条第2項」「国民の共同連帯」「健全な国民生活の維持及び向上」の3つの言葉を、順番ごと押さえておきましょう。
ひっかけ注意「国民年金法による保険給付は…」と書かれていたら誤りです。正しくは「給付」です。また、目的に挙がる出来事は老齢・障害・死亡で、「疾病」や「失業」は入っていません。
暗記憲法25条2項の理念 → 老齢・障害・死亡による生活の安定の損失を → 国民の共同連帯で防止 → 健全な国民生活の維持・向上に寄与。
覚え方「ろう・しょう・し は みんなで れんたい」……国民年金が備える出来事は老齢・障害・死亡の3つで、その防ぎ方は国民の共同連帯(第1条)。
- 老齢
- 障害
- 死亡
- 疾病
- 失業

ロウ先生「ろう・しょう・し」の3つだけ、と唱えましょう