国民年金法 ・ 第1章 全国民共通の1階部分・国民年金の地図
1-9遺族の給付の新旧の分かれ目と母子福祉年金の扱い昭60法附則第28条・第32条
【昭60法附則28条1項】施行日の前日において旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有する者については、新国民年金法第三十七条に該当するものとみなして、同条の遺族基礎年金を支給する。
【昭60法附則28条2項】旧国民年金法による母子福祉年金又は準母子福祉年金の受給権を有する者が、前項の規定による新国民年金法第三十七条の遺族基礎年金の受給権を取得したときは、当該母子福祉年金及び準母子福祉年金の受給権は消滅する。この場合において、当該母子福祉年金及び準母子福祉年金の支給は、当該権利の消滅した日の属する月の前月で終わるものとする。
【昭60法附則28条3項】第一項の規定による遺族基礎年金の支給は、新国民年金法第十八条第一項の規定にかかわらず、施行日の属する月から始めるものとする。
【昭60法附則28条6項】第一項の場合における国民年金法第三十九条及び第百七条第二項の規定の適用については、旧国民年金法による母子福祉年金若しくは準母子福祉年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた子、孫又は弟妹は、国民年金法第三十九条第一項に規定する子とみなす。
【昭60法附則32条1項】旧国民年金法による年金たる給付(前条の規定によりなおその効力を有するものとされた旧国民年金法による年金たる給付を含み、母子福祉年金及び準母子福祉年金を除く。)については、次項から第十一項まで及び第十三項並びに附則第十一条、附則第二十五条第三項、前条、附則第三十三条第一項及び附則第三十五条第四項の規定を適用する場合を除き、なお従前の例による。
ポテ旧法の母子年金を受けていた人も、昭和61年4月から遺族基礎年金に切り替わったんですよね?
ロウ先生切り替えの対象は、保険料のいらない母子福祉年金と準母子福祉年金です。保険料を納めて受けていた旧法の母子年金は、旧法のまま続きます。
ポテ「福祉」が付くかどうかで、行き先が変わるんだ……。
ロウ先生そのとおりです。福祉年金の側は遺族基礎年金の受給権を得た時点で、もとの受給権が消えます。
ポテなるほど!「ほね」と「ほねっこガム」くらい違うんだね、一文字の差って大事!
遺族の年金でも、昭和61年の改正をまたぐ人の扱いを決める必要がありました。考え方は障害(1-8)と同じです。保険料を納めて得た旧法の年金は昔のルールで続け、保険料を納めずに受けていた福祉年金は新法の基礎年金へ切り替えます。
新法と旧法の分かれ目
| ケース | どうなるか |
|---|---|
| 死亡日が昭和61年4月1日以後 | 新法の遺族基礎年金の対象 |
| 夫や親の保険料納付をもとにした旧法の母子年金・準母子年金・遺児年金を、施行日前から受ける権利があった人 | 旧法の年金がそのまま続く(32条1項「なお従前の例による」) |
| 昭和61年3月31日に旧法の母子福祉年金・準母子福祉年金の受給権があった | 新法の遺族基礎年金に裁定替え(28条) |
母子福祉年金・準母子福祉年金の裁定替え
- 施行日の前日に受給権があった人は、遺族基礎年金の要件(37条)に当たるものとみなされ、遺族基礎年金を受けます(28条1項)
- 遺族基礎年金の受給権を得たら、母子福祉年金・準母子福祉年金の受給権は消滅します。福祉年金の支給は、消滅した日の属する月の前月で終わります(同条2項)
- 遺族基礎年金の支給は、施行日の属する月(昭和61年4月分)から始まります(同条3項)
- 福祉年金の要件や加算の対象になっていた子・孫・弟妹は、遺族基礎年金の額の計算などでは「子」とみなされます(同条6項)。準母子福祉年金は孫や弟妹を育てる人にも出ていたため、こうした読み替えが必要でした
旧法から残ったもの
旧法にあった寡婦年金と死亡一時金は、新法でも第1号被保険者向けの独自の給付として残りました。第15条の4号に並んでいるのはこのためです(1-6、第10章)。
具体例で考える
ハヤシさんの夫は、保険料を納める期間を十分に持てないうちに亡くなりました。ハヤシさんは、保険料の納付を前提にしない旧法の母子福祉年金を受けて、2人の子を育てていました。昭和61年4月1日、ハヤシさんは遺族基礎年金を受けられるものとみなされ、4月分から遺族基礎年金に切り替わりました。同時に母子福祉年金の受給権は消えています。一方、同じころ夫を亡くしても、夫の保険料納付をもとに旧法の母子年金を受けていた人は、旧法の母子年金を受け続けます。
ポイント障害も遺族も、裁定替えの対象は「福祉年金」です。拠出制の年金(障害年金、母子年金、準母子年金、遺児年金)は旧法のまま続く、と1-8とセットで覚えると混乱しません。
ひっかけ注意選択肢に「母子年金」とだけ書かれ、それが遺族基礎年金に切り替えられたとする文は誤りです。裁定替えされたのは母子福祉年金と準母子福祉年金です。また、裁定替えの後も福祉年金と遺族基礎年金を両方受けられるわけではありません。
暗記新法の遺族基礎年金の対象は、昭和61年4月1日以後の死亡。旧法の母子年金・準母子年金・遺児年金=従前の例で継続。母子福祉年金・準母子福祉年金=遺族基礎年金に裁定替え(4月分から)、福祉年金の受給権は消滅。
覚え方「福祉の名札は付け替え、拠出の名札はそのまま」……福祉年金(母子福祉年金・準母子福祉年金)は遺族基礎年金へ裁定替え。保険料を納めて得た旧法の母子年金・準母子年金・遺児年金は旧法のまま(昭60法附則28条・32条)。
- 母子福祉年金
- 準母子福祉年金
- 母子年金
- 準母子年金
- 遺児年金

ポテ「福祉」の2文字で行き先が変わるんだ!