国民年金法 ・ 第1章 全国民共通の1階部分・国民年金の地図
1-8障害の給付の新旧の分かれ目と福祉年金の裁定替え昭60法附則第25条・第32条
【昭60法附則25条1項】施行日の前日において旧国民年金法による障害福祉年金を受ける権利を有していた者のうち、施行日において新国民年金法第三十条第二項に規定する障害等級(以下この条において単に「障害等級」という。)に該当する程度の障害の状態にある者については、同法第三十条の四第一項に該当するものとみなして、同項の障害基礎年金を支給する。
【昭60法附則25条2項】施行日の前日において旧国民年金法による障害福祉年金を受ける権利を有していた者のうち、施行日において障害等級に該当する程度の障害の状態にない者については、同日後、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至つたとき(同日前の同法別表に定める程度の障害の状態に該当しなくなつた日から起算して三年を経過する日までの間に限る。)は、新国民年金法第三十条の四第一項に該当するものとみなして、同項の障害基礎年金を支給する。
【昭60法附則25条3項】旧国民年金法による障害福祉年金を受ける権利を有する者が、前二項の規定により新国民年金法第三十条の四第一項の障害基礎年金の受給権を取得したときは、当該障害福祉年金を受ける権利は消滅する。この場合において、当該障害福祉年金の支給は、当該権利の消滅した日の属する月の前月で終わるものとする。
【昭60法附則32条1項】旧国民年金法による年金たる給付(前条の規定によりなおその効力を有するものとされた旧国民年金法による年金たる給付を含み、母子福祉年金及び準母子福祉年金を除く。)については、次項から第十一項まで及び第十三項並びに附則第十一条、附則第二十五条第三項、前条、附則第三十三条第一項及び附則第三十五条第四項の規定を適用する場合を除き、なお従前の例による。
ポテ旧法の障害福祉年金をもらっていた人は、新法になったら何ももらえなくなっちゃったんですか?
ロウ先生昭和61年4月1日に障害等級に当たる状態にあれば、20歳前の傷病による障害基礎年金を受けられるものとみなされました。これを「裁定替え」と呼んでいます。
ポテじゃあ、古い障害福祉年金と新しい障害基礎年金の両方をもらえるんですね!
ロウ先生障害基礎年金の受給権を取ると、障害福祉年金の受給権は消えます。入れ替わりです。
ポテなるほど!古いリードを新しいリードに付け替えただけで、2本つながれるわけじゃないんだ!
昭和61年の改正で、障害の年金も新しいしくみに移りました。ただ、すでに旧法の年金を受けていた人をどう扱うかを決めておかないと、受け取りが途切れたり二重になったりします。昭60法附則は、旧法の障害年金は昔のルールで続け、無拠出の障害福祉年金は新法の障害基礎年金に切り替える、という線を引きました。
新法と旧法の分かれ目
| ケース | 使われるルール |
|---|---|
| 施行日前に旧国民年金法の(拠出制の)障害年金を受ける権利を得ていた人 | 旧法の障害年金がそのまま続く(32条1項「なお従前の例による」) |
| 受給権が昭和61年4月1日以後に生じる | 新法の障害基礎年金。初診日などが施行日前にあっても新法の規定を当てはめ、そのための経過措置は政令で定める(23条1項) |
| 旧法の障害福祉年金の受給権があった | 要件を満たせば新法の障害基礎年金に裁定替え(25条) |
なお、同じ傷病による障害について旧法の障害年金(旧国民年金法・旧厚生年金保険法・共済組合などのもの)の受給権を持っていたことがある人には、新法の事後重症による障害基礎年金(30条の2第1項)は支給されません(22条)。同じ障害で二度目の年金を出さないための調整です。
障害福祉年金の裁定替えのしくみ
障害福祉年金は、保険料を納めていない人(20歳前に障害を負った人など)に国の費用で出していた旧法の年金です。新法では、これに当たる役割を20歳前の傷病による障害基礎年金(30条の4)が受け持っています。そこで昭60法附則25条は、次のように切り替えました。
- 昭和61年3月31日に障害福祉年金の受給権があり、4月1日に新法の障害等級(1級・2級)に当たる状態の人 → 30条の4第1項に当たるものとみなして障害基礎年金を支給。支給は施行日の属する月(昭和61年4月分)から
- 4月1日には障害等級に当たらなかった人でも、その後に障害等級に当たる状態になったとき → 同じく障害基礎年金を支給。ただし、旧法の別表の程度に当たらなくなった日から3年を経過する日までに限る
- 障害基礎年金の受給権を得たら、障害福祉年金の受給権は消滅。障害福祉年金の支給は、消滅した日の属する月の前月で終わる
具体例で考える
子どものころの病気で障害が残ったモリさんは、20歳から旧法の障害福祉年金を受けていました。昭和61年4月1日の時点で障害等級2級に当たる状態だったので、その月から20歳前の傷病による障害基礎年金(2級)を受けることになり、障害福祉年金の受給権は消えました。保険料を納めた記録がなくても受け取りが途切れないよう、制度が橋渡しをしたわけです。
ポイント旧法の「拠出制の障害年金」と「無拠出の障害福祉年金」で扱いが違います。前者は旧法のまま続き、後者は新法の障害基礎年金に切り替えられました。障害基礎年金の詳しい要件は第8章で学びます。
ひっかけ注意「旧法の障害福祉年金の受給権者は、障害基礎年金と障害福祉年金を併せて受けられる」は誤りです。障害基礎年金の受給権を得た時点で障害福祉年金の受給権は消滅します。また、裁定替えの先は事後重症(30条の2)ではなく、20歳前の傷病による障害基礎年金(30条の4)です。
暗記旧法の障害年金=従前の例で継続。障害福祉年金=昭和61年4月1日に1・2級の状態なら30条の4の障害基礎年金に裁定替え(4月分から)、その後に該当しても旧別表に該当しなくなってから3年以内なら支給。障害福祉年金の受給権は消滅。
覚え方「福祉は二十歳前へお引っ越し、猶予は3年」……障害福祉年金は20歳前の傷病による障害基礎年金(30条の4)に切り替え。昭和61年4月1日に等級に当たらなくても、旧法の程度に当たらなくなってから3年以内に等級に当たれば支給(昭60法附則25条)。
- 20歳前傷病の障害基礎年金(30条の4)とみなす
- 4月分から支給
- その後に1・2級になれば支給
- 旧法の程度に当たらなくなってから3年以内に限る