厚生年金保険法 ・ 第1章 会社員と公務員をひとつにした厚生年金
1-1労働者の老後と障害・死亡に備えるという法律の目的第1条
第一条 この法律は、労働者の老齢、障害又は死亡について保険給付を行い、労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
ポテ厚生年金の目的って「国民の共同連帯」で生活を守ること、ですよね!国民年金と同じでしょ?
ロウ先生そのことばは国民年金法の目的です。厚生年金は「労働者」の老齢・障害・死亡に「保険給付」を行い、労働者と遺族の生活の安定と福祉の向上をめざします。
ポテ主役は働く人と、その家族なんだ。
ロウ先生そうです。働く人の暮らしを、ねん入りに支える年金……今のは忘れてください。
ポテ先生、ほねの髄までしみるギャグでした!
厚生年金保険は、会社や役所で働く人が年をとったとき、障害を負ったとき、亡くなったときに、本人や家族の収入が途切れないようにするための保険です。第1条は、この法律がだれのために、何をするのかを宣言しています。
第1条を3つの部品に分ける
| 部品 | 第1条の言葉 | 意味 |
|---|---|---|
| 対象となる人 | 労働者 | 雇われて働く人。自営業者は国民年金だけで、厚生年金には入らない |
| 備える出来事 | 老齢・障害・死亡 | この3つに対応して、老齢・障害・遺族の各給付がある(1-3) |
| 手段 | 保険給付 | 保険料を出し合い、出来事が起きた人に支給する |
| 守られる人とゴール | 労働者及びその遺族/生活の安定と福祉の向上 | 亡くなった後は遺族の暮らしも支える |
国民年金法の目的と並べてみる
年金の2つの法律は、目的条文の言葉づかいがかなり違います。国民年金法は、老齢・障害・死亡で国民生活の安定がそこなわれることを「国民の共同連帯」によって防ぎ、「健全な国民生活の維持及び向上」に役立てる、と書いています。手段の言葉も「給付」です。厚生年金保険法は対象を「労働者」にしぼり、手段を「保険給付」、ゴールを「労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上」としています。
具体例で考える
食品メーカーで20年働いてきたBさん(45歳)が、通勤とは関係のない病気で亡くなったとします。Bさんには妻と高校生の子がいました。第1条が「遺族」まで書いているので、家族は遺族厚生年金(第10章)を受けられる可能性があります。Bさん本人が年金を受け取る前に亡くなっても、保険料は家族の暮らしを支える形で生きてくるわけです。
制度のあゆみ(年表で確認)
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 昭和16年公布・昭和17年施行 | 前身の労働者年金保険法が始まる。対象は男性の労働者に限られ、職場も常時10人以上を使う工場などに限られていた |
| 昭和19年 | 名前を厚生年金保険法に変え、女子や5人以上の事業所にも対象を広げる |
| 昭和29年 | 全面改正。年金が定額部分と報酬比例部分の組み合わせになり、中高齢者には受給資格期間を短くする特例ができる |
| 昭和61年4月 | 基礎年金の導入。1階が国民年金の基礎年金、厚生年金はその上の2階を受け持つ形になる |
| 平成6年・平成12年 | 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の段階的な引上げ、報酬比例部分の乗率の5%引下げ。賞与にも保険料をかける総報酬制は平成15年4月から |
| 平成16年 | 保険料の上限を決めて固定する保険料水準固定方式とマクロ経済スライドを導入。5年ごとの財政再計算は財政検証に切り替わる(第14章) |
| 平成26年4月 | 厚生年金基金を新しく作ることができなくなる。残っている基金は存続厚生年金基金と呼ぶ |
| 平成27年10月 | 国家公務員・地方公務員・私立学校の教職員の共済年金が厚生年金に統合される(被用者年金制度の一元化) |
| 令和7年(令和7年法律第74号) | 在職老齢年金の基準額の引上げ(令和8年4月)、短時間労働者の賃金要件(月8.8万円以上)の撤廃(令和8年10月)などが施行済み。遺族厚生年金の見直しは令和10年4月から予定 |
ポイント厚生年金は「働く人の保険」です。第1条のキーワードは、労働者・保険給付・遺族の3つ。この3語が入っていれば厚生年金、「共同連帯」「健全な国民生活」が出てきたら国民年金、と見分けます。
ひっかけ注意「厚生年金保険法は、国民の共同連帯によって国民生活の安定がそこなわれることを防止することを目的とする」という文は誤りです。これは国民年金法の目的の書き方です。
暗記だれの:労働者/何に:老齢・障害・死亡/どうやって:保険給付/だれを守る:労働者及びその遺族/ゴール:生活の安定と福祉の向上。
覚え方「はたらく人に、ろう・しょう・し、のこる家族もあんしん」……働く人(労働者)の老齢・障害・死亡に保険給付を行い、本人と遺族の生活の安定と福祉の向上をめざす(第1条)。
- 対象:労働者
- 老齢・障害・死亡に保険給付
- 労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上
- 国民の共同連帯
- 手段の言葉は「給付」
- 健全な国民生活の維持及び向上

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