厚生年金保険法 ・ 第1章 会社員と公務員をひとつにした厚生年金
1-2この法律に出てくる言葉の意味(報酬・賞与・配偶者など)第3条
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 保険料納付済期間 国民年金法第五条第一項に規定する保険料納付済期間をいう。
二 保険料免除期間 国民年金法第五条第二項に規定する保険料免除期間をいう。
三 報酬 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受ける全てのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。
四 賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう。
2 この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
ペン社長いいこと思いついたぞ!毎月の手当を「賞与」と呼べば、月々の保険料が安くなるだろう!
ロウ先生名前は関係ありません。第3条は「いかなる名称であるかを問わず」です。3月を超える期間ごとに払うものだけが賞与で、毎月払うなら報酬です。
ポテじゃあ、年4回のボーナスは?
ロウ先生同じ性質のものが年4回以上なら、報酬として扱います。
ポテおやつも名前じゃなくて回数で決まるんだ……社長、作戦失敗です!
第3条は、この法律で何度も出てくる言葉の意味をそろえておく条文です。とくに「報酬」と「賞与」の線引きは、標準報酬月額と標準賞与額(第4章)のどちらで保険料をかけるかを決めるので、最初に押さえておきます。
報酬と賞与は「間隔」で分ける
どちらも労働の対償として受けるものです。違いは、支払いの間隔だけです。
| 区分 | 当てはまるもの | 外れるもの |
|---|---|---|
| 報酬 | 給料・手当など、3月以内の間隔で受けるもの | 臨時に受けるもの(大入袋など)、3月を超える間隔で受けるもの |
| 賞与 | 3月を超える間隔で受けるもの(年3回以下) | 3月以内の間隔で受けるもの(こちらは報酬) |
- 呼び名が「賞与」「ボーナス」でも、同じ性質のものが1年に4回以上支給されるなら報酬に入ります。四半期ごとに年4回出る手当も報酬です。
- 年4回以上の支給だったので報酬として扱ってきたものは、7月2日以降に支給回数を変えても、次の定時決定(7月から9月までの随時改定を含む)による標準報酬月額が使われるようになるまでは、報酬としての扱いを続けます。判定のもとになるのは、7月1日より前の1年間の支給実績です。
- 何を報酬に入れ、何を入れないかの具体的な扱いは、健康保険法と同じです。
具体例で考える
雑貨店チェーンのC社は、3月・6月・9月・12月の年4回、業績手当を出しています。名前は「季節賞与」ですが、間隔は3か月です。3月を超える間隔ではないので、この手当は賞与ではなく報酬として扱い、標準報酬月額の計算に入れます。一方、夏と冬の年2回のボーナスは賞与として、標準賞与額の対象になります。
配偶者・夫・妻・子
- 「配偶者」「夫」「妻」には、婚姻届を出していない事実婚(内縁)の相手も含みます。遺族厚生年金や加給年金額の場面で効いてきます。
- 「子」は法律上の親子関係にある子(実子・養子)です。届出のない事実上の養子は含みません。
行政解釈:婚姻届と事実婚が重なるとき
- 届出をした婚姻関係と、別の人との内縁関係が同時にある場合は、原則として届出のほうを優先します。内縁の相手を事実婚の配偶者と認めるのは、届出による婚姻関係が実体をまったく失っている場合に限られます。
- 離婚届を出した後も同居を続けるなど、実態が夫婦と変わらない場合は、事実婚の要件(婚姻の意思と共同生活の実態)を満たせば、事実婚の配偶者と認定されます。
その他の言葉
- 「保険料納付済期間」「保険料免除期間」は、国民年金法第5条の定義をそのまま借りています。
- 旧法時代(昭和61年3月まで)の被保険者の呼び名も、経過措置の中に生きています。男性は第一種、女性は第二種、坑内員と船員は第三種と呼ばれ、ほかに第四種と船員任意継続被保険者がありました。保険料や受給資格期間の特例を読むときに出てきます(第2章)。
ポイント報酬か賞与かは「名前」ではなく「間隔と回数」で決まります。迷ったら「3か月より間があくか」「年に何回か」の2つだけを確かめます。
ひっかけ注意「年4回支給される賞与は、標準賞与額の対象となる」は誤りです。年4回以上なら報酬です。また「内縁関係があれば、届出による婚姻関係があっても内縁の相手が優先される」も誤り。届出の婚姻が実体を全く失っているときに限られます。
暗記報酬=臨時のもの・3月を超える間隔のものを除く。賞与=3月を超える間隔で受けるもの(年3回まで)。年4回以上は報酬。配偶者・夫・妻に事実婚を含む。
覚え方「3回までならボーナス、4回目からはお給料」……3月を超える期間ごと(年3回以下)に受けるものが賞与、年4回以上なら報酬(第3条1項3号・4号)。
- 3月を超える間隔で受けるもの
- 年3回以下
- 3月以内の間隔で受けるもの
- 名前が賞与でも年4回以上なら報酬
- 臨時に受けるもの(大入袋など)は除く