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労務管理その他の労働に関する一般常識 ・ 第1章 国が描く雇用の土台と職業選択の自由

1-1働く人の能力を生かす雇用政策のねらいと理念労働施策総合推進法第1条・第3条

第1条第1項 この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。
第3条 労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
2 労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(以下この項において「能力等」という。)の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けることその他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。

ポテこの法律のゴールって「みんなの給料アップ」ですか?

ロウ先生目的の締めくくりは、職業の安定と経済的社会的地位の向上、経済と社会の発展、そして「完全雇用の達成」です。

ポテ完全雇用……働きたい人みんなに仕事がある状態か!

ロウ先生そうです。理念のほうは「職業生活の全期間」を通じた安定です。入社した日だけの話ではありません。

ポテ散歩も最初の一歩だけじゃなくて、家に帰るまでが散歩だもんね!

労働施策総合推進法は、国の労働政策全体の「基本方針」を定めた法律です。正式な名前は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」と長いので、試験でも略称で呼ばれます。もとは「雇用対策法」という名前でしたが、平成30年の働き方改革の法改正で、いまの名前に改められました。

目的は「手段」と「ゴール」に分けて読む

1条1項は1文が長いので、つなぎの言葉で区切ると読みやすくなります。

段階条文に書かれていること
出発点少子高齢化による人口構造の変化など、経済社会の情勢の変化に対応する
国がすること労働の政策全般にわたって、必要な施策を総合的に講じる
その結果めざす状態労働市場の機能が適切に働き、多様な事情に応じた雇用の安定・職業生活の充実と、労働生産性の向上が進み、労働者が能力を有効に発揮できる
最終的なゴール①働く人の職業の安定と経済的社会的地位の向上/②経済及び社会の発展/③完全雇用の達成(3つをまとめてめざす)

「労働生産性の向上」と「労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実」は、平成30年の改正で目的に書き加えられた言葉です。名前が変わったときに中身も広がった、と覚えておきましょう。

1条2項は、この法律を運用するときの心構えです。国は、労働者の職業選択の自由と、事業主の雇用管理についての自主性を尊重しなければなりません。あわせて、職業能力を高めて自立しようとする労働者の意欲を高め、雇用を安定させようとする事業主の努力を後押しするよう努めます。

基本的理念は2本立て

3条は、労働者がどのように扱われるべきかを2つの角度から示しています。

  1. 時間の軸(1項):職業生活の設計、それに沿った能力開発、転職するときの円滑な再就職などによって、職業生活の全期間を通じて職業の安定が図られるように配慮される。
  2. 評価の軸(2項):職務の内容や、必要な能力・経験など(条文では「能力等」)がはっきり示され、それに合った方法で公正に評価され、その評価にもとづいて処遇されることなどによって、職業の安定が図られるように配慮される。

具体例で考える

製造業のA社で働くBさん(35歳)は、10年後に工場の品質管理の責任者になりたいと考えています。A社が「品質管理の担当者に必要な知識・経験」を社内に示し、それを基準に評価して昇格を決めているなら、2項がめざす姿に近い運用です。Bさんが途中で他社に移ることになっても、身につけた力を生かして次の仕事に早く移れるように支える。それが1項の「全期間を通じて」の発想です。

ひっかけ注意目的の最後に置かれているのは「完全雇用の達成」です。「完全雇用の実現を義務づける」「労働者の福祉の増進」などと言葉を差し替えた選択肢に注意しましょう。理念の配慮が及ぶ範囲は「職業生活の全期間」で、在職中や採用時だけに限りません。

暗記目的のゴール=職業の安定+経済的社会的地位の向上/経済及び社会の発展/完全雇用の達成。平成30年改正で足された言葉は「生産性」と「多様な事情」の2つ。理念=全期間を通じた安定(1項)・能力等の公正な評価と処遇(2項)。

覚え方「ゴールは3つの“あん・はっ・かん”」……職業のあん定と地位の向上、経済・社会の発展、完全雇用の達成(1条1項)。

目的のゴールに入っている言葉は?
  • ○職業の安定と経済的社会的地位の向上(あん)
  • ○経済及び社会の発展(はっ)
  • ○完全雇用の達成(かん)
  • ×労働者の福祉の増進(差し替えのひっかけ)
  • ×完全雇用の実現を義務づける(差し替えのひっかけ)

ポテあん・はっ・かん、3つそろえて覚えよう!

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