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労務管理その他の労働に関する一般常識 ・ 第1章 国が描く雇用の土台と職業選択の自由

1-2国が総合的に進める雇用施策のメニュー労働施策総合推進法第4条

第4条第1項 国は、第一条第一項の目的を達成するため、前条に規定する基本的理念に従つて、次に掲げる事項について、総合的に取り組まなければならない。
(各号略)
第4条第4項 国は、第一項第十五号に規定する施策の充実に取り組むに際しては、何人も職場における労働者の就業環境を害する言動を行つてはならないことに鑑み、当該言動が行われることのない就業環境の形成に関する規範意識の醸成がなされるよう、必要な啓発活動を積極的に行わなければならない。

ポテ国の施策って「できたらやります」くらいの努力目標ですよね?

ロウ先生いいえ。条文の語尾は「取り組まなければならない」。国は必ずやる立場なんです。

ポテじゃあ会社のほうも義務?

ロウ先生事業主の責務は「努めなければならない」で、努力義務です。主語で強さが変わるんです。

ポテおやつの「食べなさい」と「食べてもいいよ」くらい違うんだ!

1-1で見た目的と理念を実際に形にするため、国が取り組む項目を並べたのが4条です。1項には16の号があり、働く人の一生にかかわる政策がほぼ網羅されています。この科目で学ぶ多くの法律(職業安定法、職業能力開発促進法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法など)は、この「メニュー」の一品ずつを詳しくした法律だと考えると、全体の見通しがよくなります。

16の号をグループで眺める

グループ主な中身(号)
働き方・処遇労働時間の短縮などの労働条件の改善、多様な就業形態の普及、雇用形態・就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保(1号)
仕事探し・能力職業指導・職業紹介(2号)、職業訓練・職業能力検定(3号)、職業の転換・地域間の移動・職場への適応の援助(4号)、職場や職業に関する情報の提供(6号)
失業の予防事業規模の縮小等の際の失業の予防と、離職を余儀なくされる人の円滑な再就職(5号)
対象者ごとの支援女性、子の養育・家族の介護をする人(7号)、青少年(8号)、高年齢者(9号)、病気やけがで治療を受ける人(10号)、障害者(11号)
雇用のゆがみの是正不安定な雇用状態の是正(12号)、高度の専門的な知識・技術を持つ外国人の就業促進と、働く目的で在留する外国人の雇用管理の改善・再就職の促進(13号)、雇用機会が足りない地域での雇用促進(14号)
職場環境職場で労働者の就業環境を害する言動(いわゆるハラスメント)に起因する問題の解決(15号)
まとめそのほか、労働者が能力を有効に発揮するために必要な施策(16号)

10号(治療を受ける人の職業の安定)は、令和8年4月1日に施行された改正で加わりました。同じ改正で、事業主には治療と仕事の両立を支える努力義務ができています(第6章で扱います)。

2項〜4項:取り組むときの配慮

なお、すぐ後の5条では、地方公共団体も、国の施策と連携しながら地域の実情に合った労働施策を講じるよう努めるとされています。

具体例で考える

地方都市のC市では、大きな工場の撤退で働き口が減りました。工場の離職者への再就職支援は5号、雇用機会の少ない地域で仕事を生み出す取組みは14号にあたります。同じ地域で、がんの治療をしながら働き続けたい人を支える取組みは10号です。1つの町の課題でも、4条のいくつもの号がかかわってくるわけです。

ひっかけ注意4条1項の国の取組みは「取り組まなければならない」という義務です。事業主の責務(6条・7条)の「努めなければならない」と入れ替えた選択肢に気をつけましょう。また、13号で就業を促進するとされている外国人は「高度の専門的な知識又は技術を有する」人です。4項の規範意識の啓発は、「事業主」ではなく「何人も」言動をしてはならないことが前提になっています。

暗記国の施策=総合的に取り組む「義務」(4条1項・16号)。対象者ごとの支援は女性・子育て介護・青少年・高年齢者・治療を受ける人(令和8年4月〜)・障害者。外国人は高度専門人材の就業促進と雇用管理の改善。ハラスメント問題の解決(15号)と「何人も」を前提にした規範意識の啓発(4項、令和7年6月〜)。

覚え方「国はマスト、会社はトライ」……国の施策は「取り組まなければならない」(義務、4条)、事業主の責務は「努めなければならない」(努力義務、6条・7条)。

国はマスト、会社はトライ
国の施策
  • 取り組まなければならない
  • =義務
事業主の責務
  • 努めなければならない
  • =努力義務
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