国民年金法 ・ 第1章 全国民共通の1階部分・国民年金の地図
1-4条文に出てくる言葉の意味をそろえる第5条
【5条1項】この法律において、「保険料納付済期間」とは、第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間のうち納付された保険料(第九十六条の規定により徴収された保険料を含み、第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料につきその残余の額が納付又は徴収されたものを除く。以下同じ。)に係るもの及び第八十八条の二又は第八十八条の三第一項若しくは第二項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもの、第七条第一項第二号に規定する被保険者としての被保険者期間並びに同項第三号に規定する被保険者としての被保険者期間を合算した期間をいう。
【5条2項】この法律において、「保険料免除期間」とは、保険料全額免除期間、保険料四分の三免除期間、保険料半額免除期間及び保険料四分の一免除期間を合算した期間をいう。
【5条3項】この法律において、「保険料全額免除期間」とは、第七条第一項第一号に規定する被保険者としての被保険者期間であつて第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係るもののうち、第九十四条第四項の規定により納付されたものとみなされる保険料に係る被保険者期間を除いたものを合算した期間をいう。
【5条7項】この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。
【5条8項】この法律において、「政府及び実施機関」とは、厚生年金保険の実施者たる政府及び実施機関たる共済組合等をいう。
【5条9項】この法律において、「実施機関たる共済組合等」とは、厚生年金保険の実施機関たる国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団をいう。
ポテ産前産後で保険料が免除された期間って、「保険料免除期間」ですよね?名前に免除って付いてるし!
ロウ先生第5条1項は、産前産後の免除と育児期間の免除を「保険料納付済期間」に入れています。納めたのと同じ扱いです。
ポテじゃあ半額免除で残りの半分を払った月も、払ったんだから納付済ですね!
ロウ先生そちらは「保険料半額免除期間」です。残りを納めなければ未納になります。
ポテうう、名前と中身が逆さまのおやつ袋みたい……ラベルじゃなくて中身で覚えます!
年金の受給資格や年金額は、加入していた期間を「どの箱に入るか」で仕分けして計算します。その箱の名前と中身を決めているのが第5条です。ここがあいまいだと、後の章の計算がすべてぶれてしまいます。
保険料納付済期間の中身
次の期間を足し合わせたものが保険料納付済期間です。
- 第1号被保険者として保険料を納めた期間。督促や滞納処分で取り立てられた保険料(96条)の期間も入ります
- 第1号被保険者が産前産後の免除(88条の2)や育児期間の免除(88条の3)で納めなくてよいとされた期間
- 第2号被保険者だった期間
- 第3号被保険者だった期間
第2号・第3号被保険者は自分で国民年金の保険料を納めませんが、厚生年金の側から費用がまとめて出ているので、全期間が納付済期間になります。ただし、第2号被保険者の期間のうち20歳前と60歳以後の部分は、老齢基礎年金の額を計算するときに限って納付済期間に数えず、合算対象期間として扱います(第7章)。
法改正メモ子を育てている第1号被保険者の保険料を免除するしくみ(88条の3)が、令和8年10月1日に動き出しました(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律、令和6年法律第47号)。この改正で5条1項にも88条の3が書き加えられ、免除された月は納付済期間として数えます。どの月が対象になるかは第5章で扱います。
保険料免除期間の中身
保険料免除期間は、全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の4つの期間の合計です。どれも第1号被保険者の期間に限られます。
| 期間の名前 | 入るもの | 外れるもの |
|---|---|---|
| 保険料全額免除期間 | 法定免除(89条1項)、申請全額免除(90条1項)、学生納付特例(90条の3第1項)で納めなくてよいとされた期間 | あとで追納した期間(追納すれば納付済期間になる) |
| 4分の3・半額・4分の1免除期間 | 一部免除(90条の2)を受け、免除されなかった残りの額を納めた期間 | 残りを納めていない期間(未納になる)、追納した期間 |
なお、50歳未満の人を対象にした保険料の納付猶予(平成16年改正法附則19条・平成26年改正法附則14条)で納めなくてよいとされた保険料は、法律上、学生納付特例によるものとみなされます。そのため、追納しなければ全額免除期間に入ります。
具体例で仕分けてみる
フリーランスのデザイナー、ヤマダさんの第1号被保険者の5年間を仕分けます。
| ヤマダさんの状況 | 入る箱 |
|---|---|
| 2年間、毎月きちんと納付 | 保険料納付済期間 |
| 出産の前後で4か月、産前産後の免除 | 保険料納付済期間 |
| 収入が減り、1年間は半額免除で残りの半額を納付 | 保険料半額免除期間 |
| 半額免除を受けたが残りを納め忘れた3か月 | 未納期間(どの免除期間にも入らない) |
| 全額免除を受け、のちに追納した期間 | 保険料納付済期間 |
配偶者・夫・妻と事実婚
第5条7項により、「配偶者」「夫」「妻」には婚姻届を出していない事実婚の相手も含まれます。厚生労働省年金局長が日本年金機構あてに示した認定基準〔平成23年年発0323第1号〕は、事実婚と認める条件などを次のように整理しています。
- 夫婦として共同生活を営もうとする合意と、実際の共同生活の両方があること
- 近親者どうしなど、法律で結婚が禁じられている関係(反倫理的な内縁関係)は認めない
- 離婚届を出した後も実態として夫婦の生活が続いていれば、事実婚として認められることがある
- 法律上の配偶者がいる人の内縁(重婚的内縁関係)では、原則として届出をした婚姻が優先される。届出婚の実体がすっかり失われているとき(離婚の合意のうえ別居している、相当の長期間〈おおむね10年程度以上〉共同生活がないなど)に限り、内縁の相手が配偶者とされる
これに対して「子」は法律上の親子関係(実子・養子)に限られ、届出をしていない事実上の養子は含まれません。
そのほかの用語
- 政府及び実施機関(5条8項):厚生年金保険の実施者である政府と、実施機関である共済組合等。基礎年金の費用(基礎年金拠出金)を負担する側として第13章に出てきます
- 実施機関たる共済組合等(5条9項):厚生年金保険の実施機関になっている3団体(国家公務員と地方公務員それぞれの連合会、私学の事業団)を指します。1-2で見た第3条の「共済組合等」(5つ)より範囲が狭く、個々の共済組合と全国市町村職員共済組合連合会は入りません
- 基礎年金番号:一人ひとりに付く記号番号で、基礎年金番号通知書で知らされます。令和4年4月からは、それまでの国民年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が交付されています(第2章)
ひっかけ注意「産前産後の免除期間は保険料全額免除期間に算入される」は誤りで、正しくは保険料納付済期間です。逆に、学生納付特例の期間は納付済期間ではなく全額免除期間です。一部免除で残りを納めた期間を「保険料納付済期間」とする選択肢にも注意しましょう。
暗記納付済期間=第1号の納付分(滞納処分による徴収を含む)+産前産後免除+育児期間免除+第2号の期間+第3号の期間。全額免除期間=法定免除・申請全額免除・学生納付特例(納付猶予を含む)で、追納分を除く。一部免除期間は残りを納めた分だけ。
覚え方「赤ちゃん免除は納めた扱い、学生免除は免除のまま」……産前産後・育児期間の免除は保険料納付済期間。学生納付特例(と納付猶予)は保険料全額免除期間(第5条1項・3項)。
- 産前産後の免除
- 育児期間の免除
- 学生納付特例
- 納付猶予

ポテラベルじゃなくて中身で覚えます!