国民年金法 ・ 第1章 全国民共通の1階部分・国民年金の地図
1-7老齢の給付で新法と旧法のどちらが使われるか昭60法附則第31条
【昭60法附則31条1項】大正十五年四月一日以前に生まれた者又は大正十五年四月二日以後に生まれた者であつて施行日の前日において旧厚生年金保険法による老齢年金、旧船員保険法による老齢年金又は共済組合が支給する退職年金(同日においてその受給権者が五十五歳に達しているものに限る。)若しくは減額退職年金(同日においてその受給権者が五十五歳に達しているものに限る。)の受給権を有していたもの(寡婦年金にあつては、死亡したこれらの者の妻)については、附則第十五条及び第十八条並びに国民年金法第三章第二節、同章第五節第一款及び第二款並びに同法第三十七条第三号、附則第九条の二及び附則第九条の三の規定を適用せず、旧国民年金法中同法による老齢年金、通算老齢年金及び寡婦年金の支給要件に関する規定並びにこれらの年金たる給付の支給要件に関する規定であつてこの法律によつて廃止され又は改正されたその他の法律の規定(これらの規定に基づく命令の規定を含む。)は、これらの者について、なおその効力を有する。
【昭60法附則31条2項】前項の規定によりなおその効力を有するものとされた旧国民年金法第二十九条の三の規定を適用する場合においては、同条第一号中「二十五年」とあるのは、「十年」とするほか、同項の規定によりなおその効力を有するものとされた規定の適用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
【昭60法附則32条8項】国民年金法附則第五条の規定は、第一項に規定する給付のうち老齢年金又は通算老齢年金の受給権者については、適用しない。
ポテ昭和61年4月からは新法なんだから、それ以降に年金をもらう人はみんな老齢基礎年金ですよね?
ロウ先生大正15年4月1日以前に生まれた人には、昭和61年4月以後も旧法の老齢年金などが支給されます。老齢基礎年金は出ません。
ポテじゃあ大正15年4月2日以後に生まれた人は、全員が新法なんですね!
ロウ先生その前日の昭和61年3月31日に、旧厚生年金保険法の老齢年金などの受給権をすでに持っていた人も、旧法のままです。
ポテなるほど!もう食べ始めてたお弁当は、メニューが変わってもそのまま食べていいってことか!
昭和61年4月1日に新法が始まったとき、すでに高齢だった人や、すでに年金を受け取り始めていた人まで新しいしくみに移すと、混乱が起きます。そこで、昭60法附則31条は、一定の人には老齢の給付について旧法をそのまま使い続けると決めました。
旧法が続く人
| パターン | 中身 |
|---|---|
| A 生年月日で決まる人 | 大正15年4月1日以前に生まれた人 |
| B すでに受給権があった人 | 大正15年4月2日以後に生まれ、施行日の前日(昭和61年3月31日)に、旧厚生年金保険法の老齢年金、旧船員保険法の老齢年金、共済組合の退職年金・減額退職年金(その日に受給権者が55歳に達しているもの)の受給権を持っていた人 |
| 寡婦年金の場合 | A・Bに当たる人が亡くなったときの、その人の妻 |
A・Bの人には、新法の老齢基礎年金などの規定は使われません。かわりに、旧国民年金法の老齢年金・通算老齢年金・寡婦年金の支給要件の規定が、引き続き効力をもちます。同じ条文の2項は、旧国民年金法29条の3にある「25年」を「10年」と読み替えると定めています。
それ以外の人、つまり大正15年4月2日以後に生まれ、昭和61年3月31日の時点で上の受給権を持っていなかった人には、新法の老齢基礎年金が支給されます。
旧法の年金とその後のルール
- 旧法の年金については、原則として「なお従前の例による」とされ、昔のルールで支給が続きます(昭60法附則32条1項)
- 旧法の老齢年金・通算老齢年金の受給権者は、任意加入(第3章)をすることができません(同条8項)
- 保険料を納めずに受け取る旧法の老齢福祉年金は、今も支給が続いています
具体例で考える
次の3人を比べてみます。
- 大正14年生まれのAさん:生年月日だけで旧法。昭和61年4月以後に65歳を迎えた時期でも、受け取るのは旧法の老齢年金などです
- 昭和4年生まれの元公務員Bさん:昭和61年3月31日には56歳で、共済組合の退職年金の受給権を持っていた。55歳に達した受給権者なので旧法のまま
- 同じ昭和4年生まれで、昭和61年3月31日の時点では会社員を続けていて、老齢年金などの受給権がなかったCさん:新法の老齢基礎年金
ポイント境目は「生年月日」と「昭和61年3月31日時点の受給権」の2本立てです。大正15年4月1日生まれまでは無条件で旧法、それより後は受給権の有無で分かれる、と整理しましょう。
ひっかけ注意「大正15年4月1日以前に生まれた者にも老齢基礎年金が支給される」は誤りです。また、旧法の老齢福祉年金は「昭和61年4月に廃止された」のではなく、今も支給が続いています。
暗記旧法の老齢給付=大正15年4月1日以前生まれ、または同年4月2日以後生まれで昭和61年3月31日に旧厚年・旧船保の老齢年金、共済の退職年金・減額退職年金(55歳以上)の受給権あり。その他は老齢基礎年金。
覚え方「大正の最後の春までは旧メニュー」……大正15年(大正の最後の年)の4月1日以前に生まれた人は、老齢の給付が旧法のまま(昭60法附則31条)。
- 大正15年4月1日以前に生まれた人
- 大正15年4月2日以後生まれで、昭和61年3月31日に旧厚生年金保険法の老齢年金などの受給権があった人
- 大正15年4月2日以後生まれで、その受給権がなかった人