厚生年金保険法 ・ 第1章 会社員と公務員をひとつにした厚生年金
1-5会社員・公務員・私学教職員ごとに事務を分ける4つの窓口第2条の5
第二条の五 この法律における実施機関は、次の各号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定める者とする。
一 次号から第四号までに規定する被保険者以外の厚生年金保険の被保険者(以下「第一号厚生年金被保険者」という。)の資格、第一号厚生年金被保険者に係る標準報酬(第二十八条に規定する標準報酬をいう。以下この項において同じ。)、事業所及び被保険者期間、第一号厚生年金被保険者であつた期間(以下「第一号厚生年金被保険者期間」という。)に基づくこの法律による保険給付、当該保険給付の受給権者、第一号厚生年金被保険者に係る国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第九十四条の二第一項の規定による基礎年金拠出金の負担、第一号厚生年金被保険者期間に係る保険料その他この法律の規定による徴収金並びに第一号厚生年金被保険者の保険料に係る運用に関する事務 厚生労働大臣
二 国家公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者(以下「第二号厚生年金被保険者」という。)の資格、第二号厚生年金被保険者に係る標準報酬、事業所及び被保険者期間、第二号厚生年金被保険者であつた期間(以下「第二号厚生年金被保険者期間」という。)に基づくこの法律による保険給付、当該保険給付の受給権者、第二号厚生年金被保険者に係る国民年金法第九十四条の二第二項の規定による基礎年金拠出金の納付及び第八十四条の五第一項の規定による拠出金の納付、第二号厚生年金被保険者期間に係る保険料その他この法律の規定による徴収金並びに第二号厚生年金被保険者の保険料に係る運用に関する事務 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会
三 地方公務員共済組合の組合員たる厚生年金保険の被保険者(以下「第三号厚生年金被保険者」という。)の資格、第三号厚生年金被保険者に係る標準報酬、事業所及び被保険者期間、第三号厚生年金被保険者であつた期間(以下「第三号厚生年金被保険者期間」という。)に基づくこの法律による保険給付、当該保険給付の受給権者、第三号厚生年金被保険者に係る国民年金法第九十四条の二第二項の規定による基礎年金拠出金の納付及び第八十四条の五第一項の規定による拠出金の納付、第三号厚生年金被保険者期間に係る保険料その他この法律の規定による徴収金並びに第三号厚生年金被保険者の保険料に係る運用に関する事務 地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会及び地方公務員共済組合連合会
四 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定による私立学校教職員共済制度の加入者たる厚生年金保険の被保険者(以下「第四号厚生年金被保険者」という。)の資格、第四号厚生年金被保険者に係る標準報酬、事業所及び被保険者期間、第四号厚生年金被保険者であつた期間(以下「第四号厚生年金被保険者期間」という。)に基づくこの法律による保険給付、当該保険給付の受給権者、第四号厚生年金被保険者に係る国民年金法第九十四条の二第二項の規定による基礎年金拠出金の納付及び第八十四条の五第一項の規定による拠出金の納付、第四号厚生年金被保険者期間に係る保険料その他この法律の規定による徴収金並びに第四号厚生年金被保険者の保険料に係る運用に関する事務 日本私立学校振興・共済事業団
2 前項第二号又は第三号に掲げる事務のうち、第八十四条の三、第八十四条の五、第八十四条の六、第八十四条の八及び第八十四条の九の規定に係るものについては、国家公務員共済組合連合会又は地方公務員共済組合連合会が行い、その他の規定に係るものについては、政令で定めるところにより、同項第二号又は第三号に定める者のうち政令で定めるものが行う。
ポテ会社員の厚生年金の実施機関は、日本年金機構ですよね?
ロウ先生条文上の実施機関は「厚生労働大臣」です。日本年金機構は、大臣から事務を任されて窓口を動かしている法人です。
ポテじゃあ公務員の拠出金も共済組合が払うの?
ロウ先生拠出金の納付などは「連合会」の担当です。国家公務員なら国家公務員共済組合連合会ですね。
ポテ窓口が4つ、その奥にまとめ役……給食当番の班長みたいだ!
平成27年10月の一元化で、公務員と私学教職員も厚生年金の被保険者になりました。ただ、これまで共済組合が積み上げてきた記録や事務の仕組みを一度に作り直すのは大変です。そこで、被保険者を4つの種別に分け、それぞれ慣れた組織に事務を任せることにしました。この組織を実施機関といいます。
4つの種別と実施機関
| 種別 | どんな人 | 実施機関 |
|---|---|---|
| 第1号厚生年金被保険者 | 第2号〜第4号に当たらない人(民間企業の会社員など) | 厚生労働大臣 |
| 第2号厚生年金被保険者 | 国家公務員共済組合の組合員 | 国家公務員共済組合と、そのまとめ役の連合会(国家公務員共済組合連合会) |
| 第3号厚生年金被保険者 | 地方公務員共済組合の組合員 | 地方公務員共済組合のほか、まとめ役として全国市町村職員共済組合連合会と地方公務員共済組合連合会の2つ |
| 第4号厚生年金被保険者 | 私立学校教職員共済制度の加入者 | 日本私立学校振興・共済事業団 |
第1号は「ほかの3つに当たらない人すべて」という引き算の決め方になっている点に注意します。
実施機関が受け持つ事務
種別ごとに、次の事務をまるごと受け持ちます。
- 被保険者の資格、標準報酬、事業所、被保険者期間の管理
- その期間にもとづく保険給付と、受給権者の管理
- 基礎年金拠出金の負担・納付(第2号〜第4号は、第84条の5の拠出金の納付も)
- 保険料などの徴収金の事務と、保険料にかかる積立金の運用
連合会が受け持つ事務(第2項)
第2号・第3号の事務のうち、交付金(第84条の3)や拠出金(第84条の5・第84条の6)など第84条台のお金のやりとりは、個々の共済組合ではなく、国家公務員共済組合連合会または地方公務員共済組合連合会が行います。それ以外の事務を共済組合と連合会のどちらが行うかは、政令で決めています。
具体例で考える
Fさんは大学を出て民間企業に10年勤め、その後、県の職員になりました。会社員の10年は第1号厚生年金被保険者期間で、厚生労働大臣(実際の窓口は日本年金機構)が記録を持っています。県の職員になってからは第3号厚生年金被保険者期間で、地方公務員共済組合が記録を持ちます。同じ厚生年金でも、期間ごとに担当の窓口が違うわけです。このように2つ以上の種別の期間を持つ人の年金の受け取り方は、第11章(11-4〜11-6)で学びます。
ポイント一元化は「制度をひとつにした」改革で、「窓口をひとつにした」改革ではありません。共済組合などを実施機関として生かし、事務を効率よく進めています。
ひっかけ注意「第1号厚生年金被保険者に係る実施機関は日本年金機構である」は誤り。厚生労働大臣です。また「第2号厚生年金被保険者に係る拠出金の納付は国家公務員共済組合が行う」も誤りで、国家公務員共済組合連合会が行います。
暗記会社員の第1号は大臣が1人で担当。国家公務員の第2号は共済組合+連合会1つ、地方公務員の第3号は共済組合+連合会2つ、私学の第4号は事業団1つ。交付金・拠出金などのお金のやりとりは連合会の担当。
覚え方「会社・国・地方・学校の順に、大臣・国共済・地共済・私学」……第1号から第4号へ、民間→国家公務員→地方公務員→私学教職員と並び、実施機関もその順に厚生労働大臣、国家公務員共済組合等、地方公務員共済組合等、日本私立学校振興・共済事業団(第2条の5)。