労務管理その他の労働に関する一般常識 ・ 第1章 国が描く雇用の土台と職業選択の自由
1-4労働力の需給を調整する職業安定法のねらい職業安定法第1条
第1条 この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑みその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
第8条第1項 公共職業安定所は、職業紹介、職業指導、雇用保険その他この法律の目的を達成するために必要な業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とする。
ポテ職業安定法って、ハローワークのことだけ決めてる法律ですよね?
ロウ先生ハローワークだけではありません。民間の紹介会社などが行う事業の適正な運営を確保することも、目的に入っています。
ポテそっか、求人サイトとか紹介会社もこの法律の中なんだ。
ロウ先生そして労働施策総合推進法と「相まって」働く法律です。2つで1組なんですよ。……あいまって、あいぼう、なんちゃって。
ポテ先生、いまのは聞かなかったことにするね!
求人を出したい会社と、仕事を探している人。この2者をうまく結びつけることを「労働力の需給調整」といいます。職業安定法は、その結びつけの仕組みを整える法律です。1-1〜1-3の労働施策総合推進法が政策全体の方針を示すのに対し、職業安定法は「仕事探しと人集め」の現場のルールを受け持ちます。
1条を3つに分けて読む
- だれと組むか:労働施策総合推進法と相まって(協力し合って)目的を果たします。
- 何をするか:
- 公共職業安定所などの職業安定機関が、関係する行政庁や団体の協力を得て、職業紹介事業などを行う。
- 職業安定機関以外の者(民間の職業紹介事業者、募集情報等提供事業者など)が行う事業は、需給調整に果たす役割が大きいことから、その適正な運営を確保する。
- 何をめざすか:一人ひとりに能力に合った職業に就く機会を与え、産業に必要な労働力を満たすこと。それによって職業の安定を図り、経済及び社会の発展に寄与することです。
働く人の側(能力に合う仕事)と会社の側(必要な人手)の両方が目的に書かれている点がポイントです。どちらか一方の利益だけを守る法律ではありません。
公共職業安定所の位置づけ
公共職業安定所(ハローワーク)は、職業紹介、職業指導、雇用保険などの業務を行い、無料で公共に奉仕する機関とされています(8条1項)。所長は都道府県労働局長の指揮監督を受けます(8条2項)。民間の有料職業紹介と違い、求人者からも求職者からも手数料をとりません。
具体例で考える
介護施設を運営するF社は、職員を3人増やしたいと考えています。F社はハローワークに無料で求人を出すこともできますし、厚生労働大臣の許可を受けた民間の紹介会社に手数料を払って紹介を頼むこともできます。どちらのルートも、職業安定法の目的である「必要な労働力の充足」につながります。民間のルートについても、法律が適正に運営されるよう見張っているので、F社も求職者も安心して使えるわけです。
ひっかけ注意職業安定法が「相まって」目的を達成するとしている相手は、労働施策総合推進法です。労働基準法や雇用保険法と入れ替えた選択肢に注意しましょう。また、目的には民間の職業紹介事業等の「適正な運営の確保」も含まれます。「公共職業安定所の業務だけを定める」は誤りです。
暗記職業安定法の目的=労働施策総合推進法と相まって、①職業安定機関の職業紹介事業等と、②それ以外の者の事業の適正な運営の確保により、能力に合う職業に就く機会+産業に必要な労働力の充足 → 職業の安定と経済・社会の発展。ハローワーク=無料で公共に奉仕する機関(8条)。
覚え方「人にも会社にも、ちょうどいい一皿を」……働く人には能力に合う職業の機会、会社には必要な労働力。両方を満たすのが職業安定法のねらい(1条)。
- 能力に合う職業に就く機会
- 必要な労働力の充足

ポテお皿は2つ、どっちも満たすのがポイント!