労務管理その他の労働に関する一般常識 ・ 第1章 国が描く雇用の土台と職業選択の自由
1-5だれもが職業を自由に選び、差別されない原則職業安定法第2条・第3条
第2条 何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。
第3条 何人も、人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について、差別的取扱を受けることがない。但し、労働組合法の規定によつて、雇用主と労働組合との間に締結された労働協約に別段の定のある場合は、この限りでない。
ポテ組合員かどうかで紹介を変えるのは、どんな場合もアウトですよね?
ロウ先生原則はアウトです。ただ、3条にはただし書があって、労働協約に別段の定めがある場合は例外です。
ポテ別段の定めって?
ロウ先生代表例が「ショップ協定」。組合員であることを雇用の条件に結びつける約束です。
ポテショップって聞くと、ほねのお店しか浮かばないや!
職業安定法の2条と3条は、仕事探しの場面での「自由」と「平等」を宣言した規定です。憲法22条1項の職業選択の自由と、14条の法の下の平等を、職業紹介の世界に当てはめたものといえます。
職業選択の自由(2条)
どんな仕事に就くかは本人が決められます。その自由に歯止めをかけられるのは「公共の福祉」の場合だけです。たとえば、医師や弁護士のように資格が必要な職業があるのは、国民の健康や権利を守るという公共の福祉による制約です。
均等待遇(3条)
職業紹介や職業指導などの場面で、次のことを理由に差別されることはありません。
| 差別の理由にしてはならない事柄 | 補足 |
|---|---|
| 人種、国籍、信条、性別 | 生まれや考え方、性別 |
| 社会的身分、門地 | 門地は家柄のこと |
| 従前の職業 | 前にどんな仕事をしていたか |
| 労働組合の組合員であること | 労働協約に別段の定めがあれば例外 |
条文の最後は「等」で終わっているので、ここに挙げたものは例示です。表にない理由なら差別してよい、という意味ではありません。
例外:労働協約の別段の定め(ショップ協定)
労働組合法にもとづいて雇用主と労働組合が結んだ労働協約に別段の定めがあるときは、3条の均等待遇は及びません。その典型がショップ協定で、組合員であることと雇用との関係について、次のような型があります。
- クローズド・ショップ:組合員だけを雇い入れる。
- ユニオン・ショップ:雇われた人は組合に入らなければならず、組合員でなくなったら解雇される。
- オープン・ショップ:組合員かどうかを雇用の条件にしない。
雇う側の選ぶ自由との関係
3条が禁じているのは、職業紹介・職業指導などで差別的に扱うことです。雇い主がどんな人を採用するかを選ぶこと自体や、ハローワークが求職者の能力に合わせて紹介先を選ぶことまで、この規定が妨げるわけではないと解されています。
具体例で考える
Gさんは前の職場でトラック運転手をしていました。ハローワークで事務職を希望したところ、職員から「前が運転手なら事務は紹介しません」と言われたとします。これは「従前の職業」を理由にした差別的取扱いで、3条に反します。一方、Gさんの希望や適性を聞いたうえで、事務の経験を積める職業訓練をすすめるのは、能力に応じた職業指導であり問題ありません。
ひっかけ注意3条に「労働組合の組合員であること」が含まれているのに、「組合員であることは差別禁止の理由に含まれない」とする選択肢に注意。また、例外は「労働協約」に別段の定めがある場合です。「就業規則」や「労使協定」に定めがあれば例外、とする選択肢は誤りです。職業選択の自由の限界は「公共の福祉」です。
暗記職業選択の自由=公共の福祉に反しない限り(2条)。均等待遇の理由は8つ+「等」(生まれ系の人種・国籍・門地・社会的身分、内面の信条、性別、それに前職と組合員の地位)(3条)。例外=労働組合法による労働協約の別段の定め(ショップ協定:クローズド/ユニオン/オープン)。
覚え方「前の仕事と組合バッジ、紹介では見ないで」……生まれや性別などに加えて、従前の職業と組合員であることも差別の理由にできない(3条)。組合員の点だけは労働協約で例外あり。
- 人種・国籍・門地・社会的身分
- 信条・性別
- 従前の職業
- 労働組合の組合員であること
- 労働協約の別段の定め(組合員の点だけ)
- 就業規則の定め
- 労使協定の定め