労働基準法 ・ 第1章 労基法の出発点 ― 目的と労働条件の基本ルール
1-4女性であることを理由とする賃金差別の禁止第4条
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。
ポテ女性の昇進を男性より遅らせたら、労基法4条違反ですよね!
ロウ先生4条が禁じているのは賃金の差別だけです。昇進は賃金ではないので、男女雇用機会均等法の守備範囲になります。
ポテえっ、そうなの!?じゃあ就業規則に「女性の賃金は男性の9割」って書いただけで4条違反?
ロウ先生その規定は無効ですが、実際に差別的な支払いをしていなければ4条違反にはなりません。
ポテなるほど!メニューに書いてあるだけじゃ、まだ食べたことにはならない、みたいな感じですね!
第4条は、男女で給料に差をつけることを禁じる条文で、「男女同一賃金の原則」と呼ばれます。労基法ができる前、女性の賃金は男性より全体として低く抑えられていました。賃金差別をなくすことで、女性の社会的・経済的な地位を引き上げようというのがこの条文のねらいです。
対象は「賃金」だけ
4条が禁じているのは、賃金についての差別に限られます。配置、昇進、教育訓練、募集・採用など、賃金以外の男女差別を禁じる規定は労基法の中にはありません。それらは男女雇用機会均等法が受け持っています。
ここでいう賃金には、金額そのもののほか、賃金の体系や支払形態も含まれます〔昭和23年基収4281号〕。
違反になる差・ならない差
〔平成9年基発648号〕は、許される差と許されない差を次のように整理しています。
| 違反にならない | 4条違反になる |
|---|---|
| 職務、能率、技能、年齢、勤続年数などの違いで、一人ひとりの賃金に差が出る | 女性だからという理由だけで差をつける |
| 「女性は一般に能率が低い」「平均して勤続が短い」「扶養家族が少ない」といった傾向を理由に差をつける | |
| 職務や能率などの条件が同じなのに、男性は全員月給制、女性は全員日給制として女性の賃金を少なくする | |
| 女性を男性より有利に扱い、高い賃金を払う |
最後の行に注意してください。3条と同じく、差別的取扱いには有利な扱いも含まれます。
具体例で考える
ソフトウェア会社のE社で、同じ年に入社し、同じ職務・同じ評価を受けているFさん(女性)とGさん(男性)がいます。E社は「女性は結婚で辞めることが多いから」という理由で、Fさんの基本給をGさんより月1万円低くしました。これは平均的な傾向を理由にした差であり、4条違反です。
一方、Gさんが上位の資格を取得して技能手当を受けているために給料が高いのであれば、技能による個人差なので4条の問題にはなりません。
就業規則に差別規定があるとき
就業規則に「女性の賃金は男性の9割とする」といった規定があっても、実際にその規定どおりの差別的な支払いがされていなければ、4条違反にはなりません。もっとも、規定そのものは無効です〔平成9年基発648号〕。4条違反になるのは、現実に差別的な取扱いをしたときです。
3条と並べて整理する
| 差別の理由 | 禁止される対象 | |
|---|---|---|
| 3条 | 国籍・信条・社会的身分 | 賃金・労働時間その他の労働条件 |
| 4条 | 女性であること | 賃金のみ |
ポイント3条は「理由が狭く対象が広い」、4条は「理由は性別、対象は賃金だけ」と、対比で覚えると選択肢を切りやすくなります。
ひっかけ注意「女性の昇進を男性より遅らせることは労基法4条違反」は誤りです。昇進は賃金ではないので均等法の問題です。「就業規則に女性の賃金を低くする規定を置いただけで4条違反」も誤りです(規定は無効だが、実際の差別がなければ4条違反ではない)。
暗記4条=賃金だけ。額・体系・形態すべて。有利な扱いも×。平均的傾向を理由にするのも×。
覚え方「“女性だから”でお給料に差をつけたらアウト、ただしお金の話だけ」……4条が禁じるのは、女性であることを理由とする賃金の差別だけ(金額のほか賃金の体系・支払形態も含む)。昇進・配置などは男女雇用機会均等法の問題。女性を有利に扱うことや、平均的な傾向を理由に差をつけることも4条違反。
- 女性だからという理由で賃金に差をつける
- 女性を男性より有利に扱い、高い賃金を払う
- 「平均して勤続が短い」など傾向を理由に差をつける
- 職務・能率・技能・勤続年数などの違いによる個人差
- 昇進・配置の男女差(男女雇用機会均等法の問題)
- 就業規則に差別規定があるだけ(規定は無効)