労働基準法 ・ 第1章 労基法の出発点 ― 目的と労働条件の基本ルール
1-6他人の就業に介入して利益を得ることの禁止第6条
何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。
ポテピンハネ禁止って、会社だけが守ればいいんですよね?
ロウ先生6条の主語は「何人も」です。会社に限らず、誰であってもこの禁止を受けます。
ポテじゃあ、友だちのお店にバイトを1人紹介して2万円もらうのは、1回だけならセーフ!
ロウ先生繰り返し稼ぐつもりなら、1回・1人でも「業として」にあたります。許可を受けた有料職業紹介などでなければ6条違反です。
ポテえっ、そうなの!?続けるつもりなら、1口目からもうつまみ食い扱いってことか……。
第6条は、働く人と会社の間に割って入って上前をはねる「ピンハネ」を禁じる条文です。見出しは「中間搾取の排除」です。
誰が規制されるのか
条文の主語は「使用者」ではなく「何人も」です。会社だけでなく、誰であってもこの禁止を受けます。〔昭和23年基発381号〕も、個人か団体か、公人か私人かを問わないとしています。
要件を分解する
- 業として:お金をもうける目的で、繰り返し利益を得るつもりがあれば足ります。被害を受けた労働者が1人で、行為が1回だけでも「業」にあたります。本業か副業かも関係ありません〔昭和23年基発381号〕。
- 他人の就業に介入する:会社と労働者の間に第三者が入り込み、雇われることや雇用が続くことについて、仲立ちやあっせんなど結果を左右する関わり方をすることです。職業紹介、労働者の募集、労働者供給の事業が典型です〔同〕。
- 利益を得る:手数料、報酬などの名目は問いません。
法律で許されている場合
「法律に基づいて許される場合」として、次のようなものがあります。
- 職業安定法30条1項の許可を受けた有料職業紹介事業
- 職業安定法36条1項による委託募集
- 船員職業安定法にもとづいて報酬を受ける場合
行政解釈で押さえる点
- 労働者派遣〔平成11年基発168号〕:派遣元は労働者と労働契約を結んでおり、労働契約の外にいる第三者が他人の労働関係に入り込むものではありません。そのため6条の中間搾取にはあたりません。
- 法人の従業員〔昭和34年基収8770号〕:法人が業として介入して利益を得た場合、その違反行為を計画し実行した従業員は、自分の懐に利益が入っていなくても6条違反に問われます。利益が行為者本人に帰属する必要はないからです。
具体例で考える
Jさんは許可を受けずに、知人の飲食店に学生アルバイトを紹介し、紹介のたびに店から1人あたり2万円を受け取っていました。紹介したのはまだ1人だけです。しかし繰り返し稼ぐつもりで始めたのであれば「業として」にあたり、法律で許された紹介事業でもないため、6条違反となります。
違反した場合の罰則は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
ポイント判断の軸は「その人は労働契約の当事者か、外から入り込んだ者か」です。この軸で見ると、派遣が違反にならない理由も自然に説明できます。
ひっかけ注意「6条の規制対象は使用者に限られる」「1回限りの行為なら業にあたらない」「利益を得たのが法人なら従業員は違反とならない」は、いずれも誤りです。
暗記主語は「何人も」。許される例=有料職業紹介・委託募集・船員職安法の報酬。派遣は中間搾取ではない。
覚え方「何人(なんぴと)もはねるな上前、OKなのは『しょう・ぼ・せん』」……6条の主語は「何人も」で、使用者に限らない。法律で許されるのは、職業安定法の許可を受けた有料職業紹介事業(しょう)、職業安定法36条1項の委託募集(ぼ)、船員職業安定法にもとづく報酬(せん)など。労働者派遣は中間搾取にあたらない。罰則は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。
- 許可を受けた有料職業紹介事業(しょう)
- 職業安定法36条1項の委託募集(ぼ)
- 船員職業安定法にもとづく報酬(せん)
- 労働者派遣(派遣元は契約の当事者)
- 許可なく業として紹介し、利益を得る
- 1回・1人でも繰り返すつもりなら「業」
- 法人の利益でも、計画・実行した従業員