労働基準法 ・ 第10章 年少者と妊産婦等の保護
10-5年少者に禁止される危険・有害な業務と坑内労働第62条・第63条・第70条
【62条】① 使用者は、満18才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
② 使用者は、満18才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
【63条】使用者は、満18才に満たない者を坑内で労働させてはならない。
ポテ17歳のバイトくん、トンネルの中でも書類整理なら大丈夫ですよね?
ロウ先生63条の坑内労働の禁止は、仕事の中身を問いません。坑内での事務の仕事でも違反です。
ポテえっ、力仕事じゃないのに!?
ロウ先生例外は、労働局長の許可を受けた認定職業訓練で、16歳以上の男性の訓練生を必要な範囲で就かせる場合だけです。
ポテなるほど!坑内は「入ったらアウト」の立入禁止エリアなんですね!
経験の浅い若い人は、危険を察知する力も体の耐性もまだ育ちきっていません。そこで、事故や健康被害につながりやすい仕事から、18歳未満の人をはじめから遠ざけておくのがこの節のルールです。
危ない業務と有害な業務(62条)
| 区分 | 典型例 |
|---|---|
| 危険な業務(1項) | 動いている機械・動力伝導装置の危ない部分を掃除・注油・検査・修理すること/動いている機械へのベルト・ロープの付け外し/動力クレーンの運転/その他省令で定める危険業務 |
| 重量物の取扱い(1項) | 省令で定める重さ以上の物を扱う業務 |
| 有害な業務(2項) | 毒劇薬・毒劇物、爆発・発火・引火しやすい原料を扱う業務/粉じんがひどく舞う場所、有害ガス・有害放射線が出る場所、高温・高圧の場所での業務/その他安全・衛生・福祉に有害な場所での業務 |
具体的にどの業務が当たるかは、年少者労働基準規則8条に列挙されています。重量物の基準は年少則7条で、年齢・性別と「断続的に扱うか、継続して扱うか」で次のように決まっています。
| 年齢・性別 | 断続作業 | 継続作業 |
|---|---|---|
| 16歳未満の女性 | 12kg以上 | 8kg以上 |
| 16歳未満の男性 | 15kg以上 | 10kg以上 |
| 16歳以上18歳未満の女性 | 25kg以上 | 15kg以上 |
| 16歳以上18歳未満の男性 | 30kg以上 | 20kg以上 |
坑内は全面禁止(63条)
鉱山やトンネル工事などの坑内で18歳未満の人を働かせることは、原則として禁じられています(認定職業訓練を受ける満16歳以上の男性の訓練生の特例は、この節の後半で扱います)。禁止されるのは掘る作業だけではありません。坑内で行う運搬や事務の仕事であっても、働く場所が坑内である以上は対象になります。
たとえば、建設会社H社が17歳の見習いIさんを、トンネル内の詰所で図面の整理をさせる場合も63条違反です。「力仕事をさせていないから大丈夫」とはなりません。
職業訓練の特例(70条)
【70条】職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第24条第1項(同法第27条の2第2項において準用する場合を含む。)の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、第14条第1項の契約期間、第62条及び第64条の3の年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限、第63条の年少者の坑内労働の禁止並びに第64条の2の妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。ただし、第63条の年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満16歳に満たない者に関しては、この限りでない。
技能を身につけるには、実際の現場に触れることが欠かせない場合があります。そこで、都道府県労働局長の許可を受けた使用者が、認定職業訓練として行うときに限り、次の扱いが認められています(労基則34条の3)。
- 18歳未満の訓練生を、訓練に必要な範囲で危険・有害な業務に就かせること
- 16歳以上18歳未満の男性の訓練生を、訓練に必要な範囲で坑内で働かせること
16歳未満の人については、70条ただし書により坑内の特例そのものがつくれません。
行政解釈
〔昭和23年基収1625号、昭和63年基発150号〕61条は「使用してはならない」、62条は「業務に就かせてはならない」、63条は「労働させてはならない」と、条文ごとに言い方が違います。しかし意味に差はなく、どれも実際に働かせることを禁じる趣旨です。
ひっかけ注意「61条〜63条は文言が異なるので禁止の範囲も異なる」は誤りです。また、坑内労働の例外として出てくるのは職業訓練の特例だけで、対象は「16歳以上の男性」に限られます。
年少者のルールを一覧で
| 項目 | 許可で使う児童 | 15歳年度末後〜18歳未満 |
|---|---|---|
| 働かせてよいか | 原則不可。署長の許可がある場合だけ | 可 |
| 職場に置く書類 | 年齢の証明・学校長の証明書・同意書 | 年齢の証明 |
| 労働時間 | 学校の時間と合わせて1日7時間・週40時間 | 変形制・36協定・40条特例・高プロは不可(60条3項の融通あり) |
| 夜の禁止時間 | 午後8時〜午前5時 | 午後10時〜午前5時 |
| 危険有害業務・坑内 | どちらも禁止(職業訓練の特例を除く) | |
| 解雇後の帰郷旅費 | どちらも使用者が負担(10-6) | |
覚え方「重さの階段は、16歳未満の女性→16歳未満の男性→16〜18歳の女性→16〜18歳の男性の順にのぼる。継続はいつも断続より軽め」……18歳未満の重量物の基準(年少則7条)は、断続作業が12kg・15kg・25kg・30kg、継続作業が8kg・10kg・15kg・20kg(16歳未満の女性・16歳未満の男性・16歳以上18歳未満の女性・16歳以上18歳未満の男性の順)。坑内労働は18歳未満なら全面禁止(63条)。
- 16歳未満の女性:12kg以上
- 16歳未満の男性:15kg以上
- 16歳以上18歳未満の女性:25kg以上
- 16歳以上18歳未満の男性:30kg以上
- 16歳未満の女性:8kg以上
- 16歳未満の男性:10kg以上
- 16歳以上18歳未満の女性:15kg以上
- 16歳以上18歳未満の男性:20kg以上

ポテ継続はいつも断続より軽め、ですね。