労働基準法 ・ 第10章 年少者と妊産婦等の保護
10-8女性の坑内業務の制限第64条の2
使用者は、次の各号に掲げる女性を当該各号に定める業務に就かせてはならない。
一 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産後1年を経過しない女性 坑内で行われるすべての業務
二 前号に掲げる女性以外の満18歳以上の女性 坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの
ポテ妊娠中の人は「坑内には入りません」と申し出たら、坑内の仕事が全部禁止になるんですよね?
ロウ先生妊娠中の女性は、申出がなくても坑内の業務はすべて禁止です。申出が要るのは出産から1年以内の女性です。
ポテそれ以外の大人の女性は?
ロウ先生人力や動力、発破で掘る作業など、省令で定める作業だけが禁止です。坑内の施工管理などは任せられます。
ポテなるほど!妊婦さんは黙っていても通行止め、産後1年の人は手をあげたら通行止めなんですね!
鉱山やトンネルの中の仕事は、体への負担がとても大きい仕事です。この条文は、母体を守る必要が特に高い人には坑内の仕事を一切させず、それ以外の大人の女性には「特にきつい作業」だけをさせない、という二段構えのルールです。
誰に何が禁止されるのか
ポイントは、人によって「禁止の広さ」と「申出が要るかどうか」が違うことです。
| 区分 | 申出は必要か | させてはいけない坑内の仕事 |
|---|---|---|
| 妊娠している女性 | 不要(当然に禁止) | 坑内の仕事は全部 |
| 出産から1年以内の女性 | 必要(「坑内では働きません」と申し出たとき) | 坑内の仕事は全部 |
| 上の2つにあたらない18歳以上の女性 | 不要 | 省令で決められた有害な作業だけ |
| 18歳未満の人(男女とも) | ― | 第63条により坑内労働そのものが禁止 |
省令で決められた有害な作業(女性則1条)
3つ目の区分の女性について禁止されるのは、坑内で土・岩・鉱物を掘り出す次のような作業です。
- 人の力で掘る、掘り出す作業
- 機械の動力で掘る、掘り出す作業(ただし離れた場所から遠隔操作するものは除かれます)
- 発破(爆薬)を使って掘る、掘り出す作業(爆薬を詰める穴あけ、装薬、結線なども含みます)
裏を返すと、これらにあたらない坑内の仕事、たとえば坑内での現場監督や測量、遠隔操作の重機の運転などは、妊産婦でない大人の女性なら就かせることができます。
具体例で考える
トンネル工事のA建設には、3人の女性技術者がいます。
- Bさん(妊娠5か月)…本人が何も言わなくても、坑内での仕事はすべて任せられません。
- Cさん(出産から7か月で復職)…「坑内には入りません」と申し出れば、坑内の仕事はすべて任せられません。申出がなければ、Dさんと同じ扱いです。
- Dさん(30歳・妊産婦ではない)…坑内での施工管理は任せられますが、ドリルでの掘削や発破の作業はさせられません。
ひっかけ注意申出によって坑内の仕事が全面的に禁止されるのは「出産後1年以内の女性」だけです。妊産婦でない女性が申し出ても、禁止の範囲は省令の掘削等の作業のままで、全面禁止には広がりません。反対に、妊娠中の女性は申出の有無に関係なく全面禁止です。「妊娠中の女性が申し出た場合に限り」という形の選択肢は誤りです。
暗記「妊婦は黙っていても全部ダメ、産後1年は言えば全部ダメ、その他の大人の女性は掘る作業だけダメ」。罰則は第118条(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)で、女性保護の規定の中では最も重い部類です。
覚え方「黙って全部・言えば全部・掘るだけ」……妊娠中の女性は申出がなくても坑内業務はすべて禁止。産後1年以内の女性は申し出れば坑内業務はすべて禁止。それ以外の18歳以上の女性は、人力・動力・発破による掘削など省令で定める業務だけ禁止(64条の2)。
- 申出がなくても
- 坑内の業務はすべて禁止
- 申し出れば
- 坑内の業務はすべて禁止
- 省令で定める業務だけ禁止
- 人力・動力・発破による掘削など
- 現場監督・測量などは可

ロウ先生黙って全部・言えば全部・掘るだけ、です。