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労働基準法 ・ 第13章 寄宿舎・監督・書類・罰則

13-2労働基準監督機関の組織と権限第97条〜第105条

【101条】① 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
② 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。
【102条】労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。
【103条】労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関して定められた基準に反し、且つ労働者に急迫した危険がある場合においては、労働基準監督官は、第96条の3の規定による行政官庁の権限を即時に行うことができる。
【104条の2】① 行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
② 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
【105条】労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。

ポテ監督官さんって、未払いの残業代も代わりに取り立ててくれるんですよね?

ロウ先生監督官が司法警察官として動けるのは、労基法違反の罪についてだけです。未払賃金を取り立てる民事上の権限はありません。

ポテじゃあ寮が今にも危ないときは?

ロウ先生基準違反で、しかも急迫した危険があれば、署長の命令を待たずに使用停止などを命じられます。

ポテなるほど!監督官は取り立て屋さんじゃなくて、見回りの専門家なんですね!

どれほど細かくルールを決めても、守られているかを確かめる人がいなければ絵に描いた餅です。労基法は、専門の行政組織と「労働基準監督官」という専門職を置いて、法律を現場で実行させています。

組織のつながり

上から順に、厚生労働省の労働基準局、各都道府県の労働局、そして各地の労働基準監督署という三段構えです。上の機関が下の機関を指揮監督します。

厚生労働省 労働基準局都道府県労働局労働基準監督署指揮監督指揮監督署長:許可・認定など監督官:臨検・捜査
監督署の中でも、書類の許可を出すのは主に署長、現場に入るのは監督官、と役割が分かれている。

監督官は、厚生労働省・労働局・監督署に置かれます(97条)。身分保障も手厚く、監督官を辞めさせるには労働基準監督官分限審議会の同意が必要です(97条5項)。外からの圧力で調査が曲げられないようにするためです。

また、厚生労働省で女性政策を担当する局長(女性主管局長)は、女性に特有の規定の制定・改廃・解釈を受け持ち、その施行について労働基準局長などに勧告や援助を行います(100条)。

監督官ができること

権限・義務中身
臨検(101条)事業場や寮に立ち入り、帳簿や書類を出させ、会社や従業員に質問できる。身分を示す証票を必ず携帯する
司法警察官の職務(102条)労基法違反の罪に限り、警察官と同じように捜査し、検察へ送ることができる
即時の使用停止(103条)寮が基準違反で、しかも危険が差し迫っているときは、署長の命令を待たずに使用停止などを命じられる
報告・出頭(104条の2第2項)必要なら会社や従業員に報告をさせ、出頭を命じられる
秘密を守る義務(105条)仕事で知った秘密は漏らせない。退官後も同じ

ひっかけ注意司法警察官として動けるのは「労基法違反の罪」についてだけです。未払いの賃金を回収するために会社の財産を差し押さえる、といった民事上の権限はありません。また、103条の即時執行は「基準違反」と「急迫した危険」の両方がそろったときに限られます。

行政官庁が求める報告

報告や出頭を命じられるのは監督官だけではありません。行政官庁(労働基準監督署長)も、法を施行するために必要なら、使用者や労働者に報告させ、出頭を命じられます(104条の2第1項)。従わなかったり、うその報告をしたりすると、30万円以下の罰金です。会社だけでなく労働者も対象になる点に注意してください。

省令(労基則57条)は、使用者が自分から出す報告も決めています。

こんなときいつまでに
事業を始めた(適用事業報告)遅滞なく
寮で火災・爆発・倒壊の事故が起きた遅滞なく
寮の中のけが等で死亡、または4日以上休んだ遅滞なく
寮の中のけが等で休んだのが4日未満四半期ごとにまとめて
社内預金の管理状況毎年4月30日まで

具体例で考える

運送業のC社に、ある朝、監督官が予告なく訪れました。監督官は証票を見せ、タイムカードと賃金台帳の提出を求め、配車担当の社員にも話を聞きました。ここまでは101条の臨検です。

調べた結果、長時間の違法な残業が常態化していると判明しました。監督官は司法警察官として捜査を進め、書類送検することもできます。ただし、未払残業代を社員に代わって取り立てることはできません。それは社員が自分で請求する話です。

暗記組織は「局→労働局→監督署」。臨検には証票。司法警察は労基法違反の罪に限る。即時執行は寮の「基準違反+急迫した危険」。開業は報告するが、廃業の報告は定められていない。

覚え方「監督官の4つ道具は『証票・帳簿チェック・捜査・口のチャック』」……監督官は事業場や寄宿舎に臨検し、帳簿・書類の提出を求め、使用者・労働者に尋問できる。そのとき身分を証明する証票を携帯する(101条)。労基法違反の罪について司法警察官の職務を行う(102条)。職務上知った秘密は退官後も漏らさない(105条)。

労働基準監督官の権限と義務
  • ○事業場・寄宿舎に臨検する(証票を携帯)
  • ○帳簿・書類の提出を求める
  • ○使用者・労働者に尋問する
  • ○労基法違反の罪について司法警察官の職務を行う
  • ×未払賃金を取り立てる(民事上の権限はない)
  • ○職務上知った秘密は漏らさない(退官後も)

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