労働基準法 ・ 第13章 寄宿舎・監督・書類・罰則
13-3労働者の申告と各種届出の出し方第104条・労基則第59条の2
【104条】① 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
② 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。
【労基則59条】法及びこれに基く命令に定める許可、認可、認定又は指定の申請書は、各々2通これを提出しなければならない。
ペン社長いいこと思いついたぞ!監督署に申告した社員は、クビにはせず遠くの店へ異動させよう!
ロウ先生申告を理由とする不利益な取扱いは、解雇に限らず禁止です。配置転換や降格、賃金の引下げも含みます。
ポテ申告って、社員の義務なんですか?
ロウ先生権利であって義務ではありません。申告しなかったからといって責任を問われることはありません。
ポテ社長、「異動ならセーフ」はアウトです!
監督官の数には限りがあり、すべての職場を回りきることはできません。現場の違反にいちばん早く気づくのは、そこで働く本人です。そこで104条は、働く人が違反を役所に知らせる道を開き、知らせたことで仕返しを受けないよう守っています。
申告とは何か
申告は、職場の違反を監督署長や監督官に伝えて、「調べて手を打ってほしい」と行政の動きを促すことです。申告先は行政官庁(監督署長)でも監督官個人でもかまいません。
- 申告できる場面:労基法か、それに基づく命令(労基則など)に反する事実があるとき。各条の要件にあてはまる違反があればそれで足ります。
- 禁止される仕返し:解雇に限りません。配置転換、降格、賃金の引下げなど、ほかの社員と比べて不利に扱うこと全般です。この考え方は、労働組合法7条1号の不当労働行為と同じです。
- 違反したとき:申告を理由に不利益に扱った使用者には、6箇月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(119条)が科されます。
ポイント申告は労働者の「権利」として書かれていますが、義務ではありません。違反を見つけても申告しなかったからといって、本人が責任を問われることはありません。
具体例で考える
飲食チェーンD社の店舗で働くEさんは、深夜の割増賃金が払われていないことに気づき、監督署に相談して申告しました。数週間後、店長はEさんを遠方の店舗へ異動させ、シフトも大きく減らしました。
異動やシフト削減の理由が申告にあるなら、たとえ解雇でなくても104条2項違反です。一方で、申告とは関係のない正当な業務上の理由による異動であれば、この条文の問題にはなりません。試験では「解雇以外は許される」という形のひっかけに気をつけてください。
役所に出す書類の決まり
労基法には、会社が監督署へ出す書類がたくさん出てきます。その出し方の共通ルールが労基則に置かれています。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 申請書は2通(労基則59条) | 許可・認可・認定・指定を求める申請書は、それぞれ2通出す |
| 様式は最低限の目安(労基則59条の2第1項) | 法令の様式は、書くべき事項の最低限を示したもの。横書き・縦書きなど、違う形の書式を使ってもかまわない |
| 氏名の記載(同条2項) | 申請書・届出・報告は、使用者が氏名を記載して出す。押印は求められていない |
| 電子申請(同条3項) | 電子申請で出すときは、使用者の氏名を電子データとして記録すれば、氏名の記載に代えられる |
社会保険労務士などが使用者に代わって電子申請をするときは、代行の契約を結んでいることを証明する電子データを、届出と一緒に送ります(労基則59条の3)。
ひっかけ注意「2通」は許可・認可・認定・指定の申請書の話です。数字だけを入れ替えて「3通」「1通」とする出題が典型です。押印が必要とする選択肢も、現在のルールでは誤りです。
暗記申告先は署長か監督官。申告を理由とする不利益取扱いは119条(6箇月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金)。申請書は各々2通。様式は最低限の目安で、書式は自由。
覚え方「キョ・ニン・ニン・シ(許可・認可・認定・指定)の申請書はペアで出す」……許可・認可・認定・指定の申請書は、それぞれ2通提出する(労基則59条)。申告を理由とする解雇その他の不利益取扱いは、6箇月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金(104条2項・119条)。
- ○許可・認可・認定・指定の申請書は各々2通
- ×申請書は3通・1通
- ○申告は労働者の権利(義務ではない)
- ×解雇でなければ、申告を理由に異動させてもよい
- ○不利益取扱いは6箇月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金

ポテキョ・ニン・ニン・シはペアで出す!