労働基準法 ・ 第13章 寄宿舎・監督・書類・罰則
13-4法令・就業規則などを労働者に知らせる義務第106条
【106条1項】使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3第1項、第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第37条第3項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第4項、第6項及び第9項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び同条第5項(第41条の2第3項において準用する場合を含む。)並びに第41条の2第1項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
【106条2項】使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。
ポテ就業規則は長いから、社内ポータルには要約版だけ載せておけばいいですよね?
ロウ先生要旨でよいのは法令だけです。就業規則・労使協定・決議は全文を知らせます。
ポテ人事部の棚に鍵をかけてしまっておくのは?
ロウ先生働く人がいつでも見られる状態ではないので足りません。掲示・備付け、書面の交付、機器でいつでも確認のどれかです。
ポテなるほど!メニュー表は抜粋じゃなくて全ページ、しかもいつでも開ける場所に、なんですね!
自分にどんな権利があるのか、職場にどんなルールがあるのかを知らなければ、働く人はそれを使うことも、違反に気づくこともできません。106条は、会社に「ルールを見える場所に置きなさい」と命じる条文です。
何を知らせるのか
知らせる対象は4種類です。どこまで知らせるか(要旨でよいか、全文か)が違うので、表で整理します。
| 対象 | 知らせる範囲 | 補足 |
|---|---|---|
| 労基法と、それに基づく命令 | 要旨でよい | 命令には労基則・年少則・女性則・寄宿舎規程などが含まれる。要旨とは、内容をわかりやすく整理したもの |
| 就業規則 | 全文 | 本体だけでなく、賃金規程などの別規則も含めて全部 |
| 労使協定(条文に挙がっている14種類) | 全文 | 労基法に根拠のない協定は、106条の対象外 |
| 労使委員会の決議 | 全文 | 委員の5分の4以上で決める決議も対象 |
対象の労使協定・決議
14種類の協定は、ばらばらに覚えるより「お金」「時間」「年休」のグループで押さえると楽です。
- お金:社内預金(18条2項)、賃金からの控除(24条1項ただし書)、割増賃金に代わる代替休暇(37条3項)
- 時間:1箇月単位の変形(32条の2)、フレックスタイム制(32条の3)、1年単位の変形(32条の4)、1週間単位の非定型的変形(32条の5)、一斉休憩の例外(34条2項ただし書)、時間外・休日労働(36条)、事業場外みなし(38条の2第2項)、専門業務型裁量労働(38条の3)
- 年休:時間単位年休(39条4項)、計画的付与(39条6項)、年休中の賃金を標準報酬月額の30分の1相当額で払う定め(39条9項ただし書)
決議は、労使委員会が協定の代わりに決めたもの(変形労働時間制、一斉休憩、36協定、代替休暇、みなし労働時間、年休関係など)に、企画業務型裁量労働制(38条の4)と高度プロフェッショナル制度(41条の2)の決議を加えたものです。
どうやって知らせるのか(労基則52条の2)
方法は次の3つのどれかです。
- 作業場ごとに、いつでも見える場所に貼る、または置いておく
- 書面で一人ひとりに渡す
- パソコンなどにデータで保存し、各作業場に、働く人がいつでも中身を見られる機器を置く
3つ目は、社内ポータルに就業規則を載せておく、というやり方です。ただし「見たい人は人事に申し出てください」では足りません。働く人が自分で、いつでも見られる状態にしておく必要があります。
寮があるときは、寮に関する法令の規定と寄宿舎規則を、寮の中の見やすい場所に掲示するなどして、寮生に知らせます(2項)。
具体例で考える
ソフトウェア開発のF社(社員40人)は、36協定を本社3階の人事部の棚にしまい、鍵をかけています。就業規則は、社内ポータルに要約版だけを載せています。
- 36協定は、残業をする人だけでなく、事業場の労働者全体に知らせる必要があります。鍵のかかった棚では「いつでも見られる」とはいえません。
- 就業規則は全文を知らせる対象です。要約版だけでは足りません。
- どちらも106条違反で、罰則は30万円以下の罰金(120条)です。
ひっかけ注意「要旨」でよいのは法令だけです。「就業規則は要旨を周知すれば足りる」は誤りです。また、高度プロフェッショナル制度の決議や36協定は、対象となる人だけでなく、事業場のすべての労働者に知らせます。
暗記法令=要旨、就業規則・協定・決議=全文。方法は「掲示・備付け」「書面交付」「機器でいつでも確認」の3つ。違反は120条(30万円以下の罰金)。
覚え方「法令はダイジェスト、ほかはノーカット」……労基法とそれに基づく命令は要旨、就業規則・労使協定・労使委員会の決議は全文を周知する(106条1項)。方法は、作業場の見やすい場所への掲示・備付け、書面の交付、機器でいつでも確認できるようにすることの3つ(労基則52条の2)。違反は30万円以下の罰金(120条)。
- 労基法とそれに基づく命令
- 就業規則
- 労使協定
- 労使委員会の決議

ロウ先生法令はダイジェスト、ほかはノーカットです。