労働基準法 ・ 第13章 寄宿舎・監督・書類・罰則
13-5労働者名簿と賃金台帳第107条・第108条
【107条】① 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
② 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。
【108条】使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
ポテ日雇いスタッフは、労働者名簿にも賃金台帳にも載せなくていいんですよね?
ロウ先生労働者名簿は日雇いの人を除きますが、賃金台帳には載せます。
ポテ台帳は月末にまとめて書けばいいですか?
ロウ先生賃金を払うたびに、遅滞なく記入します。どちらの帳簿も事業場ごとに作ります。
ポテなるほど!名簿は人のアルバム、台帳はお金の家計簿。家計簿には日雇いさんも載るんですね!
「誰が、いつから、どんな仕事で働いているか」「いくら、どういう計算で払ったか」。この二つが記録に残っていないと、トラブルが起きたときに何が正しいのか確かめようがありません。労働者名簿と賃金台帳は、監督の場面でも紛争の場面でも、最初に開かれる基本の帳簿です。
共通するルール
- どちらも事業場ごとに作ります。本社と支店がある会社なら、本社用と支店用を別々に用意します。
- 年次有給休暇管理簿は、この二つとあわせて作ってもかまいません。
- 作らなかったり、書くべきことを書かなかったりすると、30万円以下の罰金です(120条)。
二つの帳簿を比べる
| 労働者名簿(107条) | 賃金台帳(108条) | |
|---|---|---|
| 何の記録か | 人の記録 | お金の記録 |
| 日雇いの人 | 対象外 | 対象(賃金計算期間の欄は省略可) |
| 書くタイミング | 変更があれば遅滞なく訂正 | 賃金を払うたびに遅滞なく |
| 省略できる欄 | 常時30人未満の事業では「従事する業務の種類」 | 41条該当者は労働時間数・時間外や休日の時間数 |
労働者名簿に書くこと(労基則53条)
- 氏名、生年月日、履歴、性別、住所
- 従事する業務の種類
- 雇入れの年月日
- 退職の年月日とその事由(解雇なら、その理由も)
- 死亡の年月日とその原因
賃金台帳に書くこと(労基則54条)
- 氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数
- 時間外労働(33条・36条1項による延長)、休日労働、深夜労働(午後10時〜午前5時。厚生労働大臣が必要と認める場合は午後11時〜午前6時)をさせた時間数
- 基本給・手当など、賃金の種類ごとの金額
- 労使協定に基づいて賃金から控除した額
- 通貨以外のもので払った賃金があれば、その評価総額
就業規則で労基法と違う時間外・休日・深夜の定め方をしている場合は、その就業規則に従って計算した時間数を書くこともできます。
省略できる欄は表のとおりです。日雇いの人は、1箇月を超えて続けて使われている場合を除き、賃金計算期間を書かなくてかまいません。管理監督者など41条にあたる人は、労働時間の規制がかからないので、労働時間数と時間外・休日労働の時間数を省けます。深夜の時間数は省けません。
行政解釈で押さえる点
さかのぼって賃金が上がり、差額をまとめて払ったときの書き方が示されています〔昭和22年基発233号〕。たとえば賃上げ交渉が8月にまとまり、4月分からの増額が決まって、4〜7月の差額を8月にまとめて払ったとします。この場合は、8月分の該当する賃金の種類の欄に記入し、「4箇月分の差額である」ことをはっきり書いておきます。
具体例で考える
介護事業のG社(社員25人)では、繁忙期だけ日雇いのスタッフを頼みます。
- 日雇いスタッフは労働者名簿には載せなくてかまいません。しかし賃金台帳には載せます。
- 常時30人未満なので、名簿の「従事する業務の種類」は空欄でも違反になりません。
- 正社員のHさんが引っ越したら、名簿の住所を遅滞なく直します。
- 施設長が41条の管理監督者にあたるなら、賃金台帳の労働時間数の欄は省けます。ただし深夜に働いた時間数は書きます。
ひっかけ注意「日雇いの人は賃金台帳の作成対象外」は誤りです。対象外なのは労働者名簿のほうです。また、賃金台帳は「毎月末に」ではなく「賃金を払うたびに」書きます。
暗記名簿=人・日雇い除く・30人未満は業務の種類不要。台帳=お金・日雇いも含む・支払のつど記入・41条該当者は労働時間数など不要。どちらも事業場ごと。
覚え方「アルバム(名簿)は日雇い抜き、家計簿(台帳)は全員」……労働者名簿は日日雇い入れられる者を除いて作り、変更があれば遅滞なく訂正する(107条)。常時30人未満の事業では「従事する業務の種類」を省略できる。賃金台帳は日雇いも含め、賃金を払うたびに遅滞なく記入する(108条)。41条該当者は労働時間数・時間外や休日の時間数を省けるが、深夜の時間数は省けない。
- 日日雇い入れられる者を除く
- 変更があれば遅滞なく訂正
- 常時30人未満は「従事する業務の種類」を省略可
- 日雇いも含めて全員
- 賃金を払うたびに遅滞なく記入
- 41条該当者は労働時間数などを省略可(深夜の時間数は不可)

ポテ家計簿には日雇いさんも載るんですね!