労働基準法 ・ 第13章 寄宿舎・監督・書類・罰則
13-8派遣労働者に労基法を当てはめる特例労働者派遣法第44条
ポテ派遣のPさんに残業を命じるのは派遣先だから、36協定も派遣先が結ぶんですよね?
ロウ先生労働時間を管理するのは派遣先ですが、36協定を結んで届け出るのは派遣元です。
ポテじゃあ年休は、どっちに請求するんですか?
ロウ先生派遣元です。年休を与えたり給料を払ったりできるのは、雇用契約がある派遣元だけです。
ポテなるほど!お給料とお休み券は雇ってくれた家、今日の時間割は働きに行った家なんですね!
派遣で働く人には、会社が二つあります。雇い主として給料を払う派遣元と、実際に仕事の指示を出す派遣先です。労基法は「使用者」が義務を負う作りなので、そのままでは「どちらの会社が守るのか」がはっきりしません。そこで労働者派遣法44条が、規定ごとに責任を負う会社を割り振っています。
割り振りの考え方
基本の発想はシンプルです。
- 雇う側の話(契約・お金・制度づくり)は、雇用契約を結んでいる派遣元が責任を持ちます。
- 現場の話(その日に何時間働かせるか、休ませるか)は、実際に指示を出している派遣先が責任を持ちます。
- どちらの立場でも起こりうる行為(差別や強制労働など)は、両方が責任を持ちます。
主な規定の振り分け
| 責任を負う会社 | 主な規定 |
|---|---|
| 派遣元 | 労働契約・労働条件の明示、賃金、割増賃金、変形労働時間制やフレックスタイム制の協定の締結・届出、36協定の締結・届出、年次有給休暇、産前産後の休業、就業規則、災害補償 |
| 派遣先 | 公民権の行使の保障、労働時間・休憩・休日、年少者の深夜業、危険有害業務の就業制限、妊産婦の時間外労働などの制限、育児時間、生理日の就業が著しく困難な女性への措置 |
| 両方 | 均等待遇、強制労働の禁止、記録の保存 |
具体例で考える
派遣会社Nに雇われたPさんは、メーカーQ社の工場に派遣されています。
- Q社の課長がPさんに残業を命じ、その日の労働時間を管理するのは派遣先Q社の責任です。休憩を与えるのもQ社です。
- ただし、Pさんに残業をさせるための36協定は、派遣元N社が自社の労働者代表と結び、届け出ておく必要があります。
- 残業代を計算して払うのはN社です。
- Pさんが年休を使いたいときは、N社に請求します。
- Pさんに1歳未満の子がいて育児時間を求めたら、現場で時間を与えるのはQ社です。
ひっかけ注意労働時間を管理するのは派遣先ですが、労働時間の「枠組み」をつくる協定(36協定、変形労働時間制、フレックスタイム制)を結んで届け出るのは派遣元です。「派遣先が36協定を締結する」という選択肢は誤りです。
ポイント迷ったら「その会社にできることか」を考えます。年休を与えたり給料を払ったりできるのは、雇用契約がある派遣元だけです。今日の勤務を何時に終わらせるかを決められるのは、現場の派遣先だけです。
暗記派遣元=契約・お金・協定・年休・産前産後・就業規則・補償。派遣先=時間・休憩・休日・公民権・育児時間など現場の保護。両方=均等待遇・強制労働・記録の保存。
覚え方「派遣元は『契約とお金』、派遣先は『時計』」……派遣元が責任を負うのは、労働契約・賃金・割増賃金・36協定や変形制などの協定の締結と届出・年休・産前産後・就業規則・災害補償など。派遣先は、労働時間・休憩・休日・公民権の行使・育児時間など現場の保護。均等待遇・強制労働の禁止・記録の保存は両方(労働者派遣法44条)。
- 労働契約・賃金・割増賃金
- 36協定・変形制などの協定の締結と届出
- 年休・産前産後
- 就業規則・災害補償
- 労働時間・休憩・休日
- 公民権の行使
- 育児時間など現場の保護
- 均等待遇
- 強制労働の禁止
- 記録の保存

ロウ先生派遣元は契約とお金、派遣先は時計です。