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労働基準法 ・ 第3章 雇い入れから退職まで ― 労働契約のルール

3-3有期契約の更新・雇止めに関する行政基準令和5年厚生労働省告示第114号

ポテ更新しないときの30日前の予告って、解雇予告みたいに手当を払えば省略できますよね?

ロウ先生できません。この告示の予告は解雇予告とは別物で、手当で代える仕組みはありません。

ポテえっ、そうなの!?じゃあ対象になるのは、3回以上更新して、しかも1年を超えた人だけ?

ロウ先生3回以上の更新か、雇入れから1年を超える継続勤務か、どちらか一方を満たせば対象になります。

ポテなるほど!「または」は「どっちか一つでおかわりOK」の合図ですね!

契約社員やパートのように期間を区切って働く人にとって、いちばんの不安は「次も更新してもらえるのか」です。この不安を和らげるために、厚生労働大臣が使用者の守るべき手順を告示で示しています。告示の題名は「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」といいます(令和6年4月の改正で「及び雇止め」から改められました)。もとは平成15年厚生労働省告示第357号で、令和5年厚生労働省告示第114号により改正され、令和6年4月1日から今の形になりました。

根拠は労基法14条2項・3項です。大臣はこの基準を定めることができ、労働基準監督署は使用者に必要な助言や指導を行えます。

基準の5つの柱

条使用者がすること対象となる契約義務の強さ
1条更新の上限を新しく設ける、または短くするときは、前もって理由を説明する締結後に変更・更新する有期契約義務
2条更新しないときは、期間満了日の30日前までに予告する3回以上更新した契約、または雇入れから1年を超えて続いている人の契約(最初から更新しないと明示していたものを除く)義務
3条更新しない理由の証明書を求められたら、遅れずに渡す2条の予告の対象となる場面、および実際に更新されなかった場面義務
4条更新するときは、実態と本人の希望に応じて期間をできるだけ長くする1回以上更新し、かつ雇入れから1年を超えて続いている人の契約努力義務
5条無期転換後の労働条件を示すとき、正社員などとのバランスを考えた事項を説明する無期転換の申込みができる更新の場面努力義務

条文の原文

第一条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結後、当該有期労働契約の変更又は更新に際して、通算契約期間(労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数について、上限を定め、又はこれを引き下げようとするときは、あらかじめ、その理由を労働者に説明しなければならない。
第二条 使用者は、有期労働契約(当該契約を三回以上更新し、又は雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第二項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の三十日前までに、その予告をしなければならない。
第五条 使用者は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第十五条第一項の規定により、労働者に対して労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号)第五条第五項に規定する事項を明示する場合においては、当該事項(同条第一項各号に掲げるものを除く。)に関する定めをするに当たって労働契約法第三条第二項の規定の趣旨を踏まえて就業の実態に応じて均衡を考慮した事項について、当該労働者に説明するよう努めなければならない。

具体例で考える

架空のスーパー「あおばマート」で、パートの木村さんが半年契約を更新しながら働いています。

  1. 入社して半年、1回目の更新。この時点では2条の予告義務はまだありません。更新回数は1回で、勤続も1年を超えていないからです。
  2. 勤続が1年を超えた後の更新。今度は4条の配慮の対象になります。木村さんが長く働きたいと言えば、会社は1年契約などへ延ばすよう努めます。
  3. 会社が途中で「更新は通算4年まで」という上限を新しく入れたい。1条により、あらかじめ木村さんに理由を説明しなければなりません。
  4. 勤続2年で会社が更新しないと決めた。満了日の30日前までに予告が必要です。木村さんが理由の証明書を求めれば、会社はすぐに出します。
どの条件で何がかかるか2条 雇止めの予告3回以上更新「または」1年超4条 期間の配慮1回以上更新「かつ」1年超予告は「30日前まで」/ 予告の義務はあるが手当の支払義務はない最初から「更新しない」と示していた契約は2条の対象外
2条は「または」、4条は「かつ」。条件のつなぎ方の違いが出題の的になる。

ひっかけ注意2条の予告は、解雇予告(20条)とは別物です。30日前という日数は同じですが、予告に代えて手当を払えば済むという仕組みはありません。また「3回以上更新」と「1年を超えて継続勤務」は、どちらか一方を満たせば対象になります。

令和6年4月の改正で加わったところ

1条と5条は、令和6年4月1日から適用された改正で新たに設けられた条です〔令和5年基発0330第1号〕。同じ時期に、労基法施行規則5条の明示事項も増えました。セットで整理しておきます。

だれに新しく示す内容どのタイミングで
すべての労働者就業場所と業務について、雇入れ直後のものに加えて「変更の範囲」契約を結ぶとき、有期契約を更新するとき
有期契約の人通算契約期間または更新回数の上限(定めがある場合)契約を結ぶとき、更新するとき
有期契約の人無期転換を申し込めること無期転換の申込権が生じる更新のとき
有期契約の人無期転換した後の労働条件同上

ことばの確認

5条にいう「労働契約法3条2項の趣旨」とは、就業の実態に応じて均衡を考えながら労働条件を決めるという理念のことです。無期転換後の条件を決めるときに、正社員などとの釣り合いをどう考えたかを説明するよう求めています。

ポイント入社や更新のたびに示す「変更の範囲」と、無期転換の申込権が生じる更新のときに示す「転換後の条件」。明示の場面は大きくこの2つだと考えると、次の3-4(15条)とつながります。

暗記予告は「3回または1年」、配慮は「1回かつ1年」。義務なのは1条・2条・3条、努力義務なのは4条・5条。

覚え方「予告は『サンドかイチゴ』のどっちか、配慮は『イチとイチ』の両方」……更新しない場合の30日前までの予告(告示2条、義務)は、3回以上更新した契約か、雇入れから1年を超えて継続勤務している人の契約のどちらかで対象(最初から更新しないと明示したものを除く)。期間をできるだけ長くする配慮(4条、努力義務)は、1回以上更新し、かつ1年を超えて継続勤務している人が対象。

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