労働基準法 ・ 第3章 雇い入れから退職まで ― 労働契約のルール
3-10予告のルールが適用されない人第21条
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 2箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者
ポテ試用期間を3か月にしておけば、その間は予告なしで辞めてもらえますよね?
ロウ先生試用期間中の人でも、14日を超えて引き続き使われたら予告が必要です。会社が試用期間を長く決めても、14日のラインは動きません。
ポテえっ、そうなの!?じゃあ日雇いの人は、ずっと予告なし?
ロウ先生日雇いの人も、1か月を超えて引き続き使われたら予告が必要になります。
ポテなるほど!試食コーナーは14日で閉店、日替わり定食も1か月続けば常連さん扱い、ですね!
1日だけ、あるいは数週間だけの約束で働く人に「30日前の予告」を求めても、そもそも契約が30日もありません。そこで21条は、ごく短い・臨時の雇い方をしている人を20条の対象から外しています。
ただ、それだけだと「ずっと日雇いの形にしておけば予告がいらない」という抜け道ができます。そこで、一定の長さを超えて働き続けた人には、20条が再び適用される仕組みになっています。
4つの類型と「戻るライン」
| 予告が不要な人 | どんな人か | このラインを超えたら予告が必要 |
|---|---|---|
| 日日雇い入れられる者 | 1日ごとの契約で、その日の終わりに契約が終わる人 | 1か月を超えて引き続き使用 |
| 2か月以内の期間を定めて使用される者 | 1か月契約、2か月契約などの短期契約の人 | 契約で決めた期間を超えて引き続き使用 |
| 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者 | 収穫期の農作業、冬の除雪など、季節や自然現象に左右される仕事に短期で就く人 | 契約で決めた期間を超えて引き続き使用 |
| 試の使用期間中の者 | 本採用前のお試し期間にいる人 | 14日を超えて引き続き使用 |
暗記日数で区切られるのは2つだけ。「日雇い=1か月」「試用=14日」。残りの2つ(2か月以内・季節4か月以内)は「契約で決めた期間」がラインです。
覚え方「ひと月日雇い、いよ(14)いよ試用、短期はに(2)っこり、季節は四季(4)」……20条の予告が不要なのは、日日雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用されたら必要)、2か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者(この2つは契約で決めた期間を超えたら必要)、試の使用期間中の者(14日を超えたら必要)(21条)。
具体例で考える
- 引越し会社のE社は、繁忙期にFさんを日雇いで呼んでいました。気づけば1か月半、毎日続けて来てもらっています。1か月を超えた時点で、Fさんを辞めさせるには予告(または手当)が必要です。
- G社は新卒のHさんに「試用期間3か月」を設けました。入社10日目に辞めてもらうなら予告は不要です。しかし15日目以降は、試用期間中であっても予告が必要になります。会社が試用期間を長く決めても、14日のラインは動きません。
- スキー場のI社は、除雪要員を「12月〜2月の3か月契約」で雇いました。季節的業務で4か月以内なので予告は不要です。3か月を超えて3月以降も使い続ければ、20条が適用されます。
行政解釈
- 〔昭和24年基収2751号〕いつも同じ仕事をさせながら、1か月契約を形だけ更新して1年、2年と働かせている場合は、実質的に期間の定めのない契約と変わりません。21条の除外は使えず、予告が必要です。
- 〔昭和27年基収1239号〕日雇いで数日働いた人と、改めて2か月契約を結んだとします。その2か月契約を繰り返していないなら、期間の途中で解雇しても予告や手当は不要です。
- 〔同上〕日雇いの人を正社員などの一般の労働者として雇い直し、その後2週間の使用期間内に辞めさせる場合は、原則として予告が必要です。仕事の中身がはっきり切り替わるなど、客観的にみてその2週間が本当の「試みの使用期間」といえる場合に限り、予告がいりません。
試験ではこう問われる:認定の要否
19条と20条の例外には、労働基準監督署長の認定が必要なものと不要なものが混ざっています。並べて整理しておくと迷いません。
| 条文 | 例外の内容 | 認定 |
|---|---|---|
| 19条(解雇制限) | 打切補償を支払う | 不要 |
| 19条(解雇制限) | 天災事変などで事業継続が不可能 | 必要 |
| 20条(解雇予告) | 天災事変などで事業継続が不可能 | 必要 |
| 20条(解雇予告) | 本人の責に帰すべき事由 | 必要 |
| 21条(予告の適用除外) | 日雇い・短期・季節・試用 | 不要(要件を満たせば当然に除外) |
ひっかけ注意「認定がいらない」のは、19条では打切補償だけです。天災事変を理由にする場合は、19条でも20条でも必ず認定を受けます。