労働基準法 ・ 第4章 賃金の支払い方 ― 支払のルールと生活の保障
4-2出産・病気など非常時の前払い第25条
急にお金が必要になったのに、給料日はまだ先。そんなとき、すでに働いた分だけは先に受け取れるようにするのが25条です。
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
ポテ母が入院したら、非常時払いで来月分の給料も前借りできますよね?
ロウ先生25条で払ってもらえるのは、すでに働いた分の賃金だけです。まだ働いていない期間の分は対象外です。
ポテえっ、そうなの!?未来のぼくには頼れないのか〜。
ロウ先生25条は支払の時期を早めるだけで、前貸しの義務はありません。「既往」の分だけなので、気負わずに。……今のは忘れてください。
ポテなるほど!食べた分のお会計だけ、先にできるってことですね!
具体例で考える
C社の給料日は毎月25日で、月末締めです。社員のDさんは10月15日に母親が倒れて入院し、手術費が必要になりました。Dさんが会社に請求すれば、会社は10月1日から15日までに働いた分の賃金を、25日を待たずに払わなければなりません。
一方、Dさんが「11月分の給料も前借りしたい」と言っても、25条を根拠にそれを求めることはできません。まだ働いていない期間の分は、この条文の対象外だからです〔昭和22年基発135号〕。
「非常の場合」の中身
条文の「出産、疾病、災害」に加え、労基則9条が次のとおり範囲を広げています。対象になる人は、労働者本人だけでなく、その人の収入で暮らしている人も含みます。
| 誰に起きたか | どんな出来事か |
|---|---|
| 労働者本人、または労働者の収入で生計を維持している人 | 出産・病気・災害 |
| 結婚・死亡 | |
| やむを得ない事情による1週間以上の帰郷 |
「収入で生計を維持している人」は親族に限られません。たとえば、内縁の配偶者のように戸籍上の親族でなくても、その人の稼ぎで暮らしていれば当てはまります。
疾病は、業務上のものに限らず、業務外の私傷病も含みます。また、25条は支払の時期を早めるだけなので、通貨で、本人に直接、全額を払うという24条1項の原則はそのままかかります。
試験ではこう問われる
- 前払いの対象はすでに働いた分に限られる。将来の分まで払えという権利はない。
- 帰郷は1週間以上で、かつやむを得ない事由があるとき。
- 生計を維持されている人は親族に限らない。
- 支払うのは、労働者が請求したとき。会社が自発的に払う義務ではない。
ひっかけ注意「非常の場合には、労働者の請求により、翌月分の賃金も含めて前払いしなければならない」は誤りです。25条は支払時期を早めるだけで、前貸しを義務づける規定ではありません。
暗記非常の場合は「産・病・災」+「婚・死」+「1週間以上の帰郷」。
覚え方「三秒祭(産・病・災)の婚式(婚・死・帰郷)へ、1週間以上帰省」……25条の非常の場合は、労働者本人か、その収入で生計を維持している人の出産・疾病・災害(条文)と、結婚・死亡・やむを得ない事由による1週間以上の帰郷(労基則9条)。払うのは労働者が請求したときで、既に働いた分の賃金に限る。
- 出産
- 疾病
- 災害
- 結婚
- 死亡
- やむを得ない事由による1週間以上の帰郷

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