労働基準法 ・ 第4章 賃金の支払い方 ― 支払のルールと生活の保障
4-5最低賃金法とのつながり第28条
労基法には「時給はいくら以上」という金額は書かれていません。28条は、その役目を最低賃金法にまるごと任せることを宣言した、いわば橋渡しの条文です。
賃金の最低基準に関しては、最低賃金法(昭和34年法律第137号)の定めるところによる。
ポテ東京の派遣会社から大阪の工場に行ってる人は、東京の最低賃金ですよね?
ロウ先生派遣で働く人には、派遣先の事業場がある地域の最低賃金が適用されます。この例なら大阪府です。
ポテえっ、そうなの!?じゃあ地域別と特定の両方がかかる人は、足し算でお得?
ロウ先生足し合わせず、高いほうだけが適用されます。特定最低賃金は、特定の産業ごとに決まる最低賃金のことです。
ポテなるほど!AセットとBセットは両方食べられないけど、高いほうが出てくるってことか!
最低賃金法の中心になる条文
最低賃金法4条1項 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
同条2項 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
仕組みは労基法13条とそっくりです。最低賃金を下回る約束をしても、契約そのものが消えるのではなく、足りない部分だけが最低賃金額に自動的に引き上げられます。
具体例で考える
ある県の地域別最低賃金が時給1,000円だとします。I社がパートのJさんと「時給950円」で契約していても、その部分は無効になり、Jさんの時給は1,000円とみなされます。I社は差額50円×働いた時間分を払わなければなりません。
月給制の人も同じ考え方です。月給を1か月の所定労働時間で割って時間額にし、それを最低賃金額と比べます。最低賃金額は時間額で定められているからです。
2種類の最低賃金
| 地域別最低賃金 | 特定最低賃金 | |
|---|---|---|
| 単位 | 都道府県ごと | 特定の産業ごと |
| 対象 | その都道府県で働くすべての労働者 | その産業で働く労働者 |
| 決まり方 | 毎年改定(例年10月ごろ発効) | 関係労使の申出をきっかけに、地域別より高い水準が必要な場合に決定 |
| 違反したとき | 最低賃金法40条により50万円以下の罰金 | 最低賃金法の罰則はなく、労基法24条(全額払い)違反として労基法の罰則 |
一人の労働者に両方がかかる場合は、高いほうだけが適用されます。2つを足し合わせるわけではありません。
比べるときに外す賃金
最低賃金を満たしているかどうかを判定するとき、次の賃金は計算に入れません(最低賃金法4条3項)。
- 臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
- 所定労働時間を超える労働、所定休日の労働、深夜労働に対して払われる賃金(割増賃金など)
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
たとえば基本給は低めで、通勤手当と家族手当を足すと最低賃金を超える、という給与の組み方では、最低賃金を満たしたことになりません。
派遣労働者
派遣で働く人には、派遣先の事業場がある地域の最低賃金が適用されます(最低賃金法13条)。東京の派遣会社から大阪の工場に派遣されているなら、大阪府の最低賃金が基準です。
ひっかけ注意「派遣労働者には派遣元の所在地の最低賃金が適用される」「地域別と特定の両方が適用される場合は合算額が最低賃金となる」は、どちらも誤りです。
暗記除外する賃金は「臨時・1か月超・割増・精皆勤・通勤・家族」。地域別違反の罰金は50万円以下。
覚え方「たまに(臨時)・まとめて(1か月超)・時間外(割増)、皆勤・通勤・家族は別勘定」……最低賃金を満たすかどうか比べるときは、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)、所定労働時間を超える労働・所定休日の労働・深夜労働に払われる賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当を計算に入れない(最低賃金法4条3項)。地域別最低賃金の違反は50万円以下の罰金。
- ×臨時に支払われる賃金
- ×1か月を超える期間ごとの賃金(賞与など)
- ×所定時間外・所定休日・深夜労働の賃金
- ×精皆勤手当
- ×通勤手当
- ×家族手当

ロウ先生この6つは全部「別勘定」です