労働基準法 ・ 第5章 働く時間の原則 ― 労働時間・休憩・休日・時間外労働
5-3事業場をまたぐ通算と坑内での計算第38条
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
ポテ午前はE社で4時間、午後はF社で5時間。会社が違うんだから、別々に数えていいですよね?
ロウ先生事業場が違っても、事業主が違っても、労働時間は足し合わせます。合計9時間なので、1時間が法定時間外です。
ポテその1時間の割増は、どっちの会社が払うんですか?
ロウ先生原則として、後から労働契約を結んだF社です。
ポテなるほど!お弁当を2つのお店で買っても、食べるのは1つのおなかってことですね!
働く場所を分けるだけで8時間の天井をすり抜けられたら、上限の意味がなくなります。そこで38条1項は、別々の事業場での労働時間を足し合わせて数えるよう定めています。
具体例で考える
Dさんは先にE社と、あとからF社と労働契約を結びました。平日は、午前中にE社の工場で4時間働き、午後はF社の店舗で5時間働いています。通算すると1日9時間なので、8時間を1時間はみ出します。
- E社とF社が別の会社でも、通算します。同じ会社の別の支店でも同じです。
- はみ出した1時間の割増賃金は、通算の結果として法定時間を超えさせた側、つまり原則として後から労働契約を結んだF社が負担します〔令和2年基発0901第3号〕。
足し合わせない規定
通算の対象は、労働時間に関する規定です。休憩、休日、年次有給休暇の規定は通算しません。たとえば休日は、事業場ごとに確保できているかを見ます。
ひっかけ注意「事業主が異なる場合は通算しない」は誤りです。事業主が同じかどうかは関係ありません。
坑内労働の特別な数え方
坑内労働については、労働者が坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。但し、この場合においては、第34条第2項及び第3項の休憩に関する規定は適用しない。
地下深くで働く人は、休憩中も地上に戻れず、危険な環境から離れられません。そのため、坑口を入ってから出るまでを丸ごと労働時間とみなします。
ポイント坑内では休憩も労働時間に含まれます。その代わり、休憩の「一斉付与」と「自由利用」の原則は適用されません。休憩を与えること自体(34条1項)は外れていない、と区別して覚えます。
覚え方「坑口タッチで計測スタート、出たらストップ」……坑内労働は、坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までを、休憩も含めて労働時間とみなす。休憩の一斉付与と自由利用の原則は外れるが、休憩を与えること自体は必要(38条2項)。
- 1坑口に入るここから計測スタート
- 2坑内で作業・休憩休憩も労働時間に含む。一斉付与・自由利用は外れるが、休憩は与える
- 3坑口を出るここで計測ストップ

ロウ先生坑口タッチでスタート、出たらストップです