労働基準法 ・ 第7章 柔軟な働き方の制度 ― 変形労働時間制・フレックス・みなし労働時間
7-21か月以内の方式で時間外になる時間第32条の2
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
ポテ火曜は6時間の予定だったのに、8時間働いちゃった。でも8時間以内だから時間外はゼロですよね?
ロウ先生日の段階では時間外になりません。ただ、その週の合計が40時間を超えれば、週の段階で拾われます。数える順番は日、週、期間全体です。
ポテじゃあ月曜に予定を1時間超えた分は、週でもう一回数えるんですか?
ロウ先生前の段階で時間外として数えた時間は、後の段階では数えません。二重には数えません。
ポテなるほど!粉を3回ふるっても、最初に取れたダマは2回目には数えないってことか!
変形制を入れても、残業がゼロになるわけではありません。シフトで決めた時間を超えて働けば、やはり時間外労働です。この節では「どこからが時間外か」を数える手順と、この方式に関わる例外・配慮のルールをまとめます。
時間外を数える3つのステップ
判定は、小さい単位から順に行います。前のステップで時間外として数えた時間は、後のステップでは数えません(二重に数えないための調整です)。
| 順番 | 見る単位 | あらかじめ長く定めた場合 | それ以外の場合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1日 | 8時間を超える時間を定めた日は、その定めた時間を超えた分 | 8時間を超えた分 |
| 2 | 1週間 | 40時間(特例44時間)を超える時間を定めた週は、その定めた時間を超えた分 | 40時間(特例44時間)を超えた分 |
| 3 | 変形期間全体 | 総枠(40×暦日数÷7)を超えた分 | |
具体例で考える
E社では、ある週の月曜を10時間、火曜を6時間と定めていました(その週の予定は合計40時間)。社員のFさんは実際には月曜11時間、火曜8時間働き、ほかの日は予定どおりでした。
- 月曜:定めた10時間を1時間超えたので、1時間が時間外(ステップ1)。
- 火曜:定めは6時間ですが、8時間以内なので日単位では時間外になりません。
- その週:実労働は43時間。週の定めがないので40時間を超えた3時間が候補ですが、月曜の1時間はステップ1で数え済みなので、ここで加わるのは2時間です(ステップ2)。
この週の時間外は合計3時間です。火曜の「6時間を超えた2時間」は、日では拾われず週で拾われた、ということになります。
8時間を超えて働かせられるのは、あらかじめ特定しておいた日だけです。休日の振替で後から労働日になった日は特定された日ではないので、その日に9時間働かせると、8時間を超えた1時間は時間外労働になります〔昭和63年基発1号・150号〕。
例外として扱われる人・事業
- 特例対象事業(常時10人未満の商業・接客娯楽業など):週平均44時間を超えない範囲で、この方式を使えます(労基則25条の2第2項)。
- 鉄道などの予備勤務者:運輸交通業で列車・気動車・電車に乗務する労働者のうち予備の勤務に就く人は、1か月以内の期間を平均して週40時間以内であれば、協定や就業規則に定めがなくても、1日8時間・1週40時間を超えて働かせることができます(労基則26条)。
年少者と、配慮が必要な人
- 満18歳未満の年少者には、原則としてこの方式は使えません(労基法60条1項)。ただし、満15歳に達した日以後の最初の3月31日を過ぎた年少者であれば、1週48時間・1日8時間を超えない範囲で、この方式の例により働かせることができます(労基法60条3項2号)。
- 育児や介護をしている人、職業訓練や教育を受けている人などについては、それに必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません(労基則12条の6)。この配慮義務は変形制全般にかかりますが、フレックスタイム制は対象外です。
行政解釈:勤務ダイヤで回す職場
交替制の職場では、月ごとに勤務割を組まないと回らないことがあります。〔昭和63年基発150号〕は、各日の時間は就業規則でなるべく具体的に特定すべきとしつつ、次のような扱いを認めています。就業規則には各勤務パターンの始業・終業時刻、組み合わせの考え方、勤務割表の作り方と周知の方法を定めておく。そのうえで各日の勤務割は、変形期間が始まる前までに具体的に決めれば足りる、という整理です。
ひっかけ注意「期間が始まってから、忙しさに応じて勤務割を決めればよい」は誤りです。勤務割の特定は、変形期間の開始前までに済ませておく必要があります。
ポイントステップ1で「8時間以内なら時間外ではない」と判断された時間でも、ステップ2や3で拾われることがあります。日→週→期間の順番を崩さないことが計算問題のコツです。
暗記特別の配慮=育児・介護・職業訓練・教育。対象は変形制。フレックスは外れる。
覚え方「15歳の春を過ぎたら“週48・日8”まで」……満18歳未満には原則としてこの方式は使えないが、満15歳に達した日以後の最初の3月31日を過ぎた年少者なら、1週48時間・1日8時間を超えない範囲で、この方式の例により働かせられる(60条3項2号)。

ポテ15歳の春を過ぎたら週48・日8!