労働基準法 ・ 第7章 柔軟な働き方の制度 ― 変形労働時間制・フレックス・みなし労働時間
7-31年以内で平均する方式の導入方法第32条の4
① 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第三十二条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第一項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。第三項において同じ。)
四 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を一箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下この条において「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
五 その他厚生労働省令で定める事項
② 使用者は、前項の協定で同項第四号の区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも三十日前に、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。
④ 第三十二条の二第二項の規定は、第一項の協定について準用する。
ペン社長いいこと思いついたぞ!1年単位の変形制は、就業規則に書いておけば十分だろう。忙しくなったら途中でシフトを変えればいい!
ロウ先生1年単位は労使協定が必須で、届出も要ります。対象期間が始まったら、途中で変えることも認められません。
ポテじゃあ2つ目以降の区分のシフトは、どうやって決めるんですか?
ロウ先生その区分が始まる少なくとも30日前に、過半数組合か過半数代表者の同意を得て、書面で決めます。
ペン社長重箱に詰めてから、おせちの中身を入れ替えてはいかんということか!
夏に繁忙期がくる観光施設や、年度末に工事が集中する建設会社のように、忙しさの波が月単位ではなく季節単位でやってくる職場があります。1年以内の方式は、閑散期に休日をまとめて確保し、繁忙期に長く働く配分を認めることで、年間を通じた総労働時間の短縮と休日の確保をめざす制度です〔平成11年基発45号〕。
導入は労使協定だけ
1か月以内の方式と違い、就業規則だけで導入することはできません。過半数組合(なければ過半数代表者)との書面による協定が必須で、労働基準監督署長への届出も必要です(32条の4第4項)。届け出なかった場合は30万円以下の罰金の対象となります(120条1号)。
協定で決めること
| 項目 | 中身と注意点 |
|---|---|
| 対象労働者の範囲 | 期間の途中で採用された人、期間中に契約が終わる有期の人、定年を迎える人も対象にできる |
| 対象期間 | 1か月を超え1年以内。起算日も明らかにする |
| 特定期間 | 対象期間のうち特に忙しい期間。置かない場合も「定めない」と書くのが原則 |
| 労働日と各日の労働時間 | 原則は対象期間の全部について決める(区分する方法は下記) |
| 有効期間 | 労働協約による場合を除き必要(労基則12条の4第1項) |
平均の上限は「週40時間」です。週44時間の特例対象事業であっても、この方式では40時間で組まなければなりません。
全部の日を先に決められないとき
1年先のシフトを最初から確定させるのは現実的ではありません。そこで、対象期間を1か月以上の区分に分ければ、協定の時点では次の内容を決めておくだけで足ります。
- 最初の区分:労働日と、その日ごとの労働時間
- 2つ目以降の区分:労働日数と総労働時間だけ
2つ目以降の区分の具体的なシフトは、その区分が始まる日の少なくとも30日前に、過半数組合(なければ過半数代表者)の同意を得て、書面で決めます。協定で決めた日数・総時間を超えてはいけません。
具体例で考える
リゾートホテルのG社は、4月1日起算の1年を対象期間とし、3か月ごとの4区分にしました。協定の段階では、4〜6月の日ごとのシフトと、7〜9月・10〜12月・1〜3月それぞれの「労働日数と総労働時間」だけを決めます。7〜9月のシフトは、遅くとも6月1日ごろ(7月1日の30日前)までに過半数代表者の同意を得て確定させます。
行政解釈と細かい扱い
- 対象期間が始まったら、途中でやめることはできません。
- 〔平成6年基発181号〕協定に「労使が合意すれば期間の途中でも一部を変更できる」と書いてあっても、その条項を使って途中で変更することは認められません。
- 特定期間について何も書いていない協定は、「特定期間を定めない」と定めたものとして扱われます。
- 協定で、変形制を使う時期と使わない時期をあらかじめ分けて定めることも差し支えありません。
- 有効期間は対象期間より短くはできません。運用上は対象期間と同じ1年程度が望ましいとされています。
ひっかけ注意「就業規則に定めれば1年単位の変形制を採用できる」「労使の合意があれば対象期間の途中で労働日を変更できる」は、どちらも誤りです。
ポイント30日前の手続は「同意」です。「意見を聴く」や「通知する」ではありません。言葉の違いが選択肢の正誤を分けます。
暗記期間は1か月超〜1年以内、導入は協定のみ・届出必要、区分後のシフトは30日前に同意。
覚え方「“サン”ジュウ日前に“サン”成(賛成)をもらう」……区分した2つ目以降の期間の労働日と各日の労働時間は、その期間の初日の少なくとも30日前に、過半数組合(なければ過半数代表者)の同意を得て書面で定める。「意見を聴く」ではなく「同意」(32条の4第2項)。
- 1協定では労働日数と総労働時間だけ決める最初の区分は労働日と各日の時間まで
- 2区分の初日の少なくとも30日前
- 3過半数組合(なければ過半数代表者)の同意「意見を聴く」ではない
- 4書面で労働日と各日の労働時間を定める協定の日数・総時間を超えない

ロウ先生サンジュウ日前にサン成です