労働基準法 ・ 第7章 柔軟な働き方の制度 ― 変形労働時間制・フレックス・みなし労働時間
7-41年以内の方式の上限と途中入社・退職者の清算第32条の4・第32条の4の2
第32条の4 ③ 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに一日及び一週間の労働時間の限度並びに対象期間(第一項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。
ポテ1年単位なら、平均で週40時間に収まれば、繁忙期は1日12時間でもいいですよね?
ロウ先生1日の上限は10時間、1週は52時間です。この2つは、対象期間の長さに関係なくかかります。
ポテじゃあ繁忙期だけ働いて辞めた人は、長い日ばっかりで損しませんか?
ロウ先生在籍した期間で平均をとり直し、週40時間を超えた分には割増賃金を払います。
ポテなるほど!大盛りの日だけ食べて帰った人には、小盛りの日が来なかった分の埋め合わせがあるんだ!
第32条の4の2 使用者が、対象期間中の前条の規定により労働させた期間が当該対象期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第三十七条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。
平均で週40時間に収まれば何時間でも組める、となれば、繁忙期に体を壊す人が出かねません。そこで1年以内の方式には、日数・時間・連続勤務について厚生労働省令(労基則12条の4)で上限が設けられています。あわせて、期間の一部しか在籍しなかった人の損得を調整する清算のルールを学びます。
上限の一覧
| 何の上限か | 限度 | 補足 |
|---|---|---|
| 労働日数 | 1年あたり280日 | 対象期間が3か月を超える場合に適用。期間が1年未満なら「280×対象期間の暦日数÷365」で按分 |
| 1日の労働時間 | 10時間 | 対象期間の長さに関係なく適用 |
| 1週の労働時間 | 52時間 | 同上 |
| 48時間を超える週 | 連続は3週まで | 対象期間が3か月を超える場合に適用 |
| 同上 | 3か月ごとの区分の中で、48時間超の週の初日は3つまで | 初日から3か月ずつ区切る。端数の期間も1区分 |
| 連続して働かせる日数 | 6日 | 特定期間以外 |
| 同上(特定期間) | 1週間に1日の休日が確保できる日数 | 結果として最長12日まで続けられる |
特定期間で12日連続が可能になるのは、ある週の休日を週の初日に、翌週の休日を週の最終日に置くと、間の12日が勤務日になるからです。どの週にも休日が1日は必要なので、4週4日の変形休日制とこの方式を組み合わせることはできません。
業種による例外
- 積雪地域の建設業の屋外労働者など(労基則65条):1日10時間・1週52時間の限度は同じですが、「48時間を超える週」の2つの制限は受けません。
- 隔日勤務のタクシー運転手(労基則66条):1日の限度が16時間に広がります(1週は52時間)。ここでいう隔日勤務とは、勤務の終わりから次の始まりまで継続して20時間以上空き、始業と終業が同じ日に収まらない勤務のことです。ハイヤーは含みません。
時間外となる時間〔平成6年基発1号〕
数え方は1か月以内の方式と同じで、1日→1週→対象期間全体の順に判定し、先に数えた分は後で除きます。なお、週の基準はつねに40時間です。
途中で入った人・辞めた人の清算
対象期間の途中で採用された人や退職した人は、繁忙期だけ在籍することがあります。長い日ばかり働いて、平均を下げる閑散期を経験しないまま辞めれば、本人だけが損をします。32条の4の2は、実際に在籍して働いた期間で平均をとり直し、週40時間を超えた分に割増賃金を払うよう求めています。33条や36条による時間外・休日労働として既に扱った時間は、ここからは除きます。
具体例で考える
H社(4月起算・1年の方式)の繁忙期は7〜8月で、その2か月は週平均46時間で組まれていました。Iさんは7月1日に入社し、8月31日に退職しました。在籍した62日間の総枠は40×62÷7で約354.3時間です。実際の労働時間がこれを上回っていれば、上回った分について、37条と同じ方法で割増賃金を支払います。
そのほか共通のルール
- 満18歳未満の年少者には原則として使えません(60条1項)。ただし、満15歳に達した日以後の最初の3月31日を過ぎていれば、1週48時間・1日8時間以内でこの方式の例により働かせることができます(60条3項2号)。
- 育児・介護・職業訓練・教育などに必要な時間を確保できるよう配慮する義務があります(労基則12条の6)。
ひっかけ注意「労働日数の限度280日は、対象期間の長さにかかわらず適用される」は誤りです。日数の限度と48時間超の週の制限は、対象期間が3か月を超える場合のものです。1日10時間・1週52時間は期間の長さを問いません。
ポイント途中入社・退職者の清算は、清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制にも同じ形の規定(32条の3の2)があります。セットで覚えると得点源になります。
暗記「280日・10時間・52時間・連続6日(特定期間12日)・48時間超は連続3週まで」。
覚え方「1日は指の数(10)まで、1週はトランプの枚数(52)まで」……1年単位の変形制では、1日10時間・1週52時間が上限で、対象期間の長さを問わない。対象期間が3か月を超えるときは、労働日数は1年280日まで、48時間を超える週は連続3週までなどの制限も加わる。連続勤務は6日まで(特定期間は1週1日の休日が確保できる日数)(労基則12条の4)。

ポテ指の数とトランプの枚数!