労働基準法 ・ 第9章 年次有給休暇 ― 発生・日数・取り方・会社の義務
9-2勤続年数ごとの日数とパートの比例付与第39条
使用者は、1年6箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して6箇月を超えて継続勤務する日(以下「6箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数1年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる6箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の8割未満である者に対しては、当該初日以後の1年間においては有給休暇を与えることを要しない。(第39条第2項)
ポテ週4日勤務のパートさんは、比例付与で年休少なめですよね?1日8時間働いてますけど。
ロウ先生週の所定労働時間が30時間以上なら、日数が少なくてもフルタイムと同じ表を使います。週4日×8時間は32時間なので、比例付与にはなりません。
ポテじゃあ去年は出勤率7割で年休ゼロだった人は、今年は階段を1段戻るんですか?
ロウ先生勤続年数のカウントは止まりません。次の年は、本来の勤続年数どおりの日数です。
ポテなるほど!スタンプを押し忘れた年があっても、通った年数はちゃんと数えてくれるんだ!
年休は長く勤めるほど増えます。働く日が少ないパートタイマーにも、働く日数に見合った分が与えられます。この節では「何日もらえるか」を、フルタイムとパートに分けて整理します。あわせて、休む単位(1日・半日・時間)と、使わなかった年休の行方も確認します。
フルタイムの人の日数
最初の6箇月で10日。そこから1年ごとに増え、6年6箇月で上限の20日に届きます。増え方は途中で変わります。最初の2回は1日ずつ、3年6箇月からは2日ずつです。
| 勤続 | 6箇月 | 1年6箇月 | 2年6箇月 | 3年6箇月 | 4年6箇月 | 5年6箇月 | 6年6箇月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日数 | 10 | 11 | 12 | 14 | 16 | 18 | 20 |
| 前回との差 | ― | +1 | +1 | +2 | +2 | +2 | +2 |
暗記「10・11・12、そこから2つ飛ばしで20」。半年の時点が起点なので、勤続年数の欄はすべて「○年6箇月」になります。
覚え方「比例付与は“30時間未満”と“週4日以下”の二重ゲート」……比例付与の対象は、週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(週で決めていなければ年間216日以下)の人。日数は「フルタイムの日数×週所定日数÷5.2」で、1日未満は切り捨てる(39条3項)。
- 1週の所定労働時間は30時間未満?30時間以上ならフルタイムと同じ表
- 2週の所定労働日数は4日以下?週で決めていなければ年間216日以下
- 3両方あてはまれば比例付与フルタイムの日数×週所定日数÷5.2
- 41日未満は切り捨て

ロウ先生ゲートは2つ。上から順に確かめましょう。
なお、認定職業訓練を受ける未成年者は、最初の付与が12日になる特例があります(第72条。10-7で扱います)。
8割に届かなかった年があったら
各年の付与は、直前の1年間の出勤率で決まります。8割未満なら、その年は年休がゼロです。ただし、勤続年数のカウントは止まりません。
例を見ます。Bさんは入社1年6箇月の時点で、直前1年の出勤率が7割でした。この年の付与はありません。次の1年は9割出勤しました。すると入社2年6箇月の時点で、Bさんがもらうのは12日です。「前回もらえなかったから11日から」とはなりません〔平成6年基発1号〕。
ひっかけ注意出勤率不足の年は「その年だけ付与なし」です。日数の階段は勤続年数どおりに進むので、空白の翌年は本来の年数に応じた日数になります。
パートタイマーの比例付与
次に掲げる労働者(1週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前2項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の1週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第1号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の1週間の所定労働日数又は1週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。(第39条第3項)
比例付与の対象かどうかは、2段階で判定します。
- 週の所定労働時間が30時間未満か。30時間以上なら、日数が少なくてもフルタイムと同じ表を使います。
- 週の所定労働日数が4日以下か。週で決めていない人は、年間の所定労働日数が216日以下か。
両方にあてはまる人が対象です。日数は、フルタイムの日数に「本人の週所定日数 ÷ 5.2」を掛けて求め、1日未満は切り捨てます。5.2日は、通常の労働者の週所定労働日数として省令が定めた数字です。
計算してみます。週3日勤務のCさんが勤続3年6箇月を迎えました。フルタイムなら14日なので、14×3÷5.2=8.07…となり、Cさんは8日です。
| 週の日数 | 年間の日数 | 6箇月 | 1年6箇月 | 2年6箇月 | 3年6箇月 | 4年6箇月 | 5年6箇月 | 6年6箇月以上 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 7 | 8 | 9 | 10 | 12 | 13 | 15 |
| 3日 | 121〜168日 | 5 | 6 | 6 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 2日 | 73〜120日 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 7 |
| 1日 | 48〜72日 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 | 3 |
年休は付与日(基準日)にまとめて発生します。そのため、年度の途中で週の所定日数が変わっても、その年の日数は基準日時点のままです〔昭和63年基発150号〕。
ひっかけ注意「週4日以下なら比例付与」だけでは不十分です。週4日でも1日8時間なら週32時間となり、30時間以上なのでフルタイムと同じ日数になります。
休む単位は1日・半日・時間
使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第1号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前3項の規定による有給休暇の日数のうち第2号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(5日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項(第39条第4項)
条文は「労働日」という言葉で年休を数えています。だから原則は1日単位で、時間に刻むことは本来できません〔昭和63年基発150号、平成7年基発33号〕。そのうえで、例外が2つあります。
| 半日単位 | 時間単位 | |
|---|---|---|
| 使える条件 | 労働者が希望し、会社が同意したとき。会社に応じる義務はない | 労使協定を結んだとき(届出は不要) |
| 上限 | 特になし | 1年に5日分まで(繰越分を含めて5日) |
| 根拠 | 通達〔平成21年基発0529001号ほか〕 | 第39条第4項(平成22年4月1日施行) |
時間単位年休の細かいルールは、通達〔平成21年基発0529001号〕でまとめて示されています。
- 導入の目的は、取得率の低さを改善し、仕事と生活の両立を図ることです。ただし、まとまった日数を休むという本来の趣旨は保たれます。
- 時間単位で取るか1日単位で取るかは、労働者が選びます。
- 1日分を何時間と数えるかは、1日の所定労働時間をもとに決めます。1時間未満は切り上げます。所定7時間30分の人なら、1日=8時間です。
- 2時間単位など、1時間以外の単位にするなら協定で定めます。1日の所定労働時間以上の単位にはできません。
- 比例付与で年休が5日未満の人は、その日数の範囲で協定します。
- 使い残した時間は翌年に繰り越せます。ただし翌年の時間単位の枠は、繰越分を含めて5日以内です。
- 時季変更権の対象になります。ただし、時間単位の請求を1日単位に変えること、またはその逆は、時季変更にあたらず認められません。
- 「この時間帯は取れない」「1日に何時間まで」といった制限を、協定であらかじめ決めておくことはできません。
- 計画的付与(9-4)の方法で時間単位年休を与えることはできません。
年の途中で所定労働時間が変わったときは、端数として時間で残っている分だけを比例して直します〔平成21年基発1005第1号〕。1日8時間から4時間になった人に「3日と3時間」が残っていた場合、3時間×1/2=1.5時間を切り上げて、「3日と2時間」です。
ひっかけ注意時間単位で取った年休は、会社の年5日の時季指定義務(9-5)の日数に数えられません。半日単位は0.5日として数えられるので、両者を取り違えないようにします。
使わなかった年休はどうなるか
- 年休の請求権は2年で時効になります(第115条)。前年度の残りを翌年度に請求されたら、会社は断れません〔昭和22年基発501号〕。
- 就業規則に「翌年度への繰越しは認めない」と書いても、年度が終わった時点で権利は消えません〔昭和23年基発686号〕。
- 時効は、年休を取れるようになった時点から数えます〔平成6年基発330号〕。たとえば入社日に5日、6箇月後に5日と分けて与えたなら、前の5日は入社日から、後の5日は6箇月経過日から数えます。
全員の基準日をそろえる場合
会社によっては、入社日に関係なく、全員の付与日を毎年4月1日などにそろえています(斉一的取扱い)。本来の基準日より前倒しで与えるとき、繰り上げた期間は全部出勤したものとして扱います。そのうえで、その期間も含めた全体で8割要件を判断します〔平成6年基発1号〕。