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労働基準法 ・ 第9章 年次有給休暇 ― 発生・日数・取り方・会社の義務

9-5年5日を会社が指定して取らせる義務第39条

使用者は、第1項から第3項までの規定による有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に係るものに限る。以下この項及び次項において同じ。)の日数のうち5日については、基準日(継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下この項において同じ。)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。ただし、第1項から第3項までの規定による有給休暇を当該有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。(第39条第7項)
前項の規定にかかわらず、第5項又は第6項の規定により第1項から第3項までの規定による有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が5日を超える場合には、5日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。(第39条第8項)

ポテ会社が年5日を指定する義務があるなら、もっと休んでほしいから7日指定しちゃおう!

ロウ先生会社が指定してよいのは5日までです。本人が自分で取った日や計画的付与の日があれば、その分を差し引きます。

ポテじゃあ時間単位で2時間ずつ何回も取ってる人は?

ロウ先生時間単位の年休は差し引けません。半日単位なら0.5日として数えます。

ポテなるほど!パン5個のノルマで、丸ごとと半分は数えるけど、パンくずは数えないってことか!

9-3と9-4の仕組みがあっても、年休を1日も使わない人は残ります。そこで働き方改革の一環として、会社の側に「少なくとも年5日は確実に取らせる」義務が課されました。2019(平成31)年4月1日施行です。労働者が自分で取らないなら、会社が日を決めて休ませます。

誰が対象か

その年の基準日に10日以上の年休が付与される人です。フルタイムの人は全員が入ります。比例付与のパートでも、勤続が長く10日以上になる人(週4日で3年6箇月以上、週3日で5年6箇月以上)は対象です。管理監督者も含まれます。

判定は「その年に新たに付与された日数」で行います。比例付与で今年9日付与された人は、前年の繰越分を足すと10日を超えても、対象外です〔平成30年基発1228第15号〕。

会社が指定すべき日数の数え方

5日から、本人が自分で指定して取った日数と、計画的付与で取った日数を差し引きます。合計が5日に達すれば、会社の義務は果たされたことになります。

例:Fさんの1年間(5日の枠) 本人の指定 2日 計画 1日 会社が指定 2日 時間単位で取った年休は、何時間取っても枠を埋めない 半日単位は1回0.5日として枠に数える
本人の指定と計画的付与で3日取っていれば、会社が日を決めるのは残りの2日です。

ひっかけ注意会社が指定してよいのは5日までです。「取得促進のため7日を指定」は認められません。労働者が自分の事情で使う日を残しておく必要があるからです。また、本人の請求や計画で日がすでに決まっている分を、会社が重ねて指定することもできません〔平成30年基発1228第15号〕。

指定するときの手順

使用者は、法第39条第7項の規定により労働者に有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たつては、あらかじめ、同項の規定により当該有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前項の規定により聴取した意見を尊重するよう努めなければならない。(労基則第24条の6)
  1. この年休は会社の指定によるものだと、本人に伝える
  2. いつ休みたいか、本人の意見を聴く(義務)
  3. 聴いた意見を尊重する(努力義務)

指定の時期は、1年の初めでなくても構いません。期間の途中でも指定できます。いったん指定した日は、会社がもう一度意見を聴いて、それを尊重する形でなら変えられます。労働者の側から一方的に変えることはできません。ただし、本人から変更の希望が出たら、会社は改めて意見を聴き尊重するのが望ましいとされています〔平成30年基発1228第15号〕。

基準日より前に年休を与える会社の場合

入社日に年休を前倒しで与える会社もあります。この場合、5日の義務を数える1年間の起点も前に動きます(労基則第24条の5)。

場面5日を取らせる期間
10日以上を前倒しで与えた与えた日(第一基準日)から1年以内
基準日または第一基準日から1年以内に、次の10日以上を与える日(第二基準日)がある基準日(または第一基準日)から「第二基準日の1年後」までをまとめて履行期間とし、その月数÷12×5日を取らせればよい
上の期間が終わった後終わった日から1年ごとの区切りの初日を基準日とみなし、同じルールを続ける
10日未満ずつ、何回かに分けて前倒し合計が10日に達した日を第一基準日とみなす

例を見ます。「つばさ商事」では、4月1日入社のGさんに、法律どおり10月1日に10日を与えました。ところが全社の付与日は毎年4月1日なので、翌年4月1日にも11日を与えます。1年の期間が半年重なるため、10月1日から翌々年3月31日までの18箇月を履行期間とします。この間に18÷12×5=7.5日を取らせればよいことになります。

第一基準日とみなされた日より前に、本人の指定や計画的付与で取った年休があれば、その分も差し引けます。

行政解釈と裁判例

暗記対象は「付与10日以上」、義務は「基準日から1年で5日」、手順は「明示→意見聴取→尊重」。違反すると30万円以下の罰金です(第120条)。

覚え方「“めい(明示)・ちょう(聴取)・そん(尊重)”の3ステップ」……会社が時季を指定するときは、あらかじめ会社の指定による年休だと本人に明らかにし、時季について意見を聴き(義務)、聴いた意見を尊重するよう努める(努力義務、労基則24条の6)。

めい・ちょう・そん
  1. 1
    明示会社の指定による年休だと本人に明らかにする
  2. 2
    聴取時季について本人の意見を聴く(義務)
  3. 3
    尊重聴いた意見を尊重する(努力義務)

ロウ先生義務と努力義務の違いに注目です。

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